若手コロキアム

東大比較文學會主催若手奨励研究コロキアムについて

はじめに

東大比較文學会主催若手奨励研究コロキアムは、2007年12月に、東芝国際交流財団の助成を得て始まりました。同財団が、「海外での日本研究の活性化」を趣旨に、日本に在住する博士論文執筆中の留学生が、とりわけ博論執筆最後の段階で経済的にも苦慮している現状を鑑み、多少の援助とそれ以上のモラルサポートを目的とする「若手奨励研究」というプログラムに賛同した結果、始まったプロジェクトです。

当初からこのプログラムは5年間の期限付きで始まり、毎回2名の留学生が選抜されて、1年間の助成結果をコロキアムとして開催し、発表するかたちで進行しました。全く違った研究課題をもつ2人が、必ず1つのコロキアムテーマを掲げるというのも、大事な試みでした。

幸い毎回学内外から然るべき聴衆を得て、充実した会となりました。そのコロキアムの際に、多くの日本人院生たちが快く準備に参加してくれたことも、成功に繋がった大きな要因です。

この結果2011年までに10名の留学生が助成を受け、うち9名が博士号を取得しています。その努力と高い成果を受け、東大比較文學會では、財団助成の5年間プログラムが終わった後、今度は対象を日本人を含め院生すべてに広げて、独自にこのコロキアムを継続することを決定しました。

本コロキアムの現在

東大比較文學會主催若手奨励研究コロキアムは、2012年12月より新たな段階に入りました。比較文学比較文化研究室に集う大学院生が研究者として自立するための一助となることを目指して、研究成果を発表し、意見を交換する場という性格を前面に打ち出すことになりました。発表者は、完成間近である博士論文の概要を10分程度で説明し、さらにその一部について40分を持ち時間として精緻な研究発表を行います。ディスカッサントの講評、それに対する発表者の応答、フロアとの質疑応答が続いて、すべてが終わると70分です。これは全国大会水準の学会発表を意識した博士論文最終発表とも言えるでしょう。例年、発表者2名、ディスカッサント2名で行われます。コロキアムには教員も参加しますが、中心となるのは大学院生の皆さんであり、教育目標として以下の三点を挙げることができます。

  • (一)研究成果を発表し、質疑応答をこなすことによって自己鍛錬を行う。
  • (二)博士論文を書くとはどのような営為であるかを学ぶ。
  • (三)コロキアムを主体的に企画、実施することによって、研究会等の運営に関する経験を積み、協調性と責任感を陶冶する。

また、若手奨励研究コロキアム第二部として、課程博士号を取得したばかりの博士たち2名に体験談を語っていただく場「博士たちの報告会―博論を書いた人から書く人へ」を設けています。博士論文を書き上げるためにした方がよいこと、しない方がよいこと、予想される困難とその乗り越え方など、様々な有益な情報が披露されます。

このコロキアムに積極的に参加することを通して、比較文学比較文化研究室に集う大学院生の皆さんが研究者として巣立っていかれることを、私たちは心から願っています。

東大比較文學會若手奨励研究コロキアム開催実績(最新年度順)

各回の開催内容の詳細については、各回の題目をクリック頂き、東京大学比較文学比較文化研究室のホームページにてご確認下さい。

東大比較文學會 2023年度(第17回)若手奨励研究コロキアム
「前衛/後衛のダイナミズム——写真と文学の現代史再考」

発表者:
李範根、王秋琳
博士たちの報告会:
井口俊、宮田沙織
日 時:
2022年12月15日(金)13:30-17:30
場 所:
18号館4階コラボレーションルーム1、およびZOOMミーティングルーム
主 催:
東大比較文學會

東大比較文學會 2022年度(第16回)若手奨励研究コロキアム
「歴史を語るのは誰か——建築史家の視点・文学者の視点」

発表者:
モハッラミプール・ザヘラ、石川真奈実
博士たちの報告会:
二村淳子、梶野絵奈
日 時:
2022年12月16日(金)13:30-17:30
場 所:
18号館4階コラボレーションルーム1、およびZOOMミーティングルーム
主 催:
東大比較文學會

東大比較文學會 2021年度(第15回)若手奨励研究コロキアム
「理性と情念の相克―哲学の場合、文学の場合」

発表者:
吉岡悠平、飛田英伸
博士たちの報告会:
西田桐子、李太喜
日 時:
2021年12月17日(金)13:30-17:30
場 所:
ZOOM ミーティング(オンライン開催)
主 催:
東大比較文學會

東大比較文學會 2020年度(第14回)若手奨励研究コロキアム
「読み替えられるテクストとイメージ―受容と再創造の力学」

発表者:
井口俊、川澄亜岐子
博士たちの報告会:
岩下弘史、松枝佳奈
日 時:
2020年12月18日(金)13:30-17:30
場 所:
ZOOM ミーティング(オンライン開催)
主 催:
東大比較文學會

東大比較文學會 2019年度(第13回)若手奨励研究コロキアム
「道徳と自由はいかにして語られるか―哲学のことば、芸能のことば」

発表者:
川下俊文、李太喜
博士たちの報告会:
権保慶、森永豊
日 時:
2019年12月20日(金)13:30-17:30
場 所:
東京大学駒場Ⅰキャンパス18号館4階コラボレーションルーム3
主 催:
東大比較文學會

東大比較文學會 2018年度(第12回)若手奨励研究コロキアム
「共鳴する器 ―音楽と哲学を巡る一人称-」

発表者:
梶野絵奈、森永豊
博士たちの報告会:
安藤智子、松尾梨沙
日 時:
2018年12月21日(金)13:30-17:20
場 所:
東京大学駒場Ⅰキャンパス18号館4階コラボレーションルーム3
主 催:
東大比較文學會

東大比較文學會 2017年度(第11回)若手奨励研究コロキアム
「文学は民族をかたりうるか―芸術と文化翻訳-」

発表者:
西田桐子、権保慶
博士たちの報告会:
大西由紀、堀江秀史
日 時:
2017年12月22日(金)13:30-17:30
場 所:
東京大学駒場Ⅰキャンパス18号館4階コラボレーションルーム3
主 催:
東大比較文學會

東大比較文學會 2016年度(第10回)若手奨励研究コロキアム
「対話を読み解く―哲学と音楽の視点から」

発表者:
松尾梨沙、吉田恵吾
博士たちの報告会:
佐々木悠介、瀧内陽
日 時:
2016年12月16日(金)13:30-17:30
場 所:
東京大学駒場Ⅰキャンパス18号館4階コラボレーションルーム3

東大比較文學會 2015年度(第9回)若手奨励研究コロキアム
「みずからを語る声―独白と告白」

発表者:
伊藤由紀、金志映
日 時:
2015年12月18日(金)14:00-17:00
場 所:
東京大学駒場Ⅰキャンパス18号館4階コラボレーションルーム3

東大比較文學會 2014年度(第8回)若手奨励研究コロキアム
「ジャンルの生成と分化―作家論から見直す」

発表者:
堀江秀史、李碩
日 時:
2014年12月19日(金)14:00-17:00
場 所:
東京大学駒場Ⅰキャンパス18号館4階コラボレーションルーム3

東大比較文學會 2013年度(第7回)若手奨励研究コロキアム
「共有・記憶・伝播―見ること、見せることの意味」

発表者:
李芙鏞、林久美子
日 時:
2013年12月20日(金)14:00-17:00
場 所:
東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム3

東大比較文學會 2012年度(第6回)若手奨励研究コロキアム
「傍流の宿志―近・現代の文学、写真、美術コレクション」

発表者:
安藤智子、佐々木悠介、柴田真希都
日 時:
2012年12月21日(金)14:00-17:00
場 所:
東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム4

東芝国際交流財団助成 東大比較文學會第5回若手奨励研究コロキアム
「描かれる女性―中世から近代まで舞台上演を中心に」

発表者:
趙慶、李賢晙
日 時:
2012年1月6日(金)15:00-17:30
場 所:
東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム4

東芝国際交流財団助成 東大比較文學會第4回若手奨励研究コロキアム
「対外認識の射程─古典注釈から教科書比較まで」

発表者:
裴寛紋、金暁美
日 時:
2010年12月22日(水)15:00-17:30
場 所:
東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム4

東芝国際交流財団助成 東大比較文學會第3回若手奨励研究コロキアム
「日本近代文学への新視界─翻訳・映画・大衆」

発表者:
韓程善、金成恩
日 時:
2009年12月22日(火)15:30-18:00
場 所:
東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム4

東芝国際交流財団助成 東大比較文學會第2回若手奨励研究コロキアム
「日本を意識すること─中世と近代における「日本」の形成」

発表者:
ヴィクトリア・ストイロヴァ、李京僖
日 時:
2008年12月22日(月) 15時30分~18時30分
場 所:
東京大学駒場キャンパス18号館4階 コラボレーションルーム4

東芝国際交流財団助成 東大比較文學會第1回若手奨励研究コロキアム
「東アジアに於ける異文化の受容と再創造」

発表者:
梁蘊嫻、黄毓婷
日 時:
2007年12月21日(金) 15時30分~17時30分
場 所:
東京大学教養学部駒場キャンパス18号館4階 コラボレーションルーム4

東大比較文學會若手奨励研究コロキアム助成対象者一覧(敬称略)

  • 第1回(2007年度) 梁蘊嫻、黄毓婷
  • 第2回(2008年度) ヴィクトリア・ストイロヴァ、李京僖
  • 第3回(2009年度) 韓程善、金成恩
  • 第4回(2010年度) 裴寛紋、金暁美
  • 第5回(2011年度) 趙慶、李賢晙
  • 第6回(2012年度) 安藤智子、佐々木悠介、柴田真希都
  • 第7回(2013年度) 李芙鏞、林久美子
  • 第8回(2014年度) 堀江秀史、李碩
  • 第9回(2015年度) 伊藤由紀、金志映
  • 第10回(2016年度)松尾梨沙、吉田恵吾
  • 第11回(2017年度)西田桐子、権保慶
  • 第12回(2018年度)梶野絵奈、森永豊
  • 第13回(2019年度)川下俊文、李太喜
  • 第14回(2020年度)井口俊、川澄亜岐子
  • 第15回(2021年度)吉岡悠平、飛田英伸
  • 第16回(2022年度)モハッラミプール・ザヘラ、石川真奈実
  • 第17回(2023年度)李範根、王秋琳