展覧会&カタログ評院生委員会

[寸評]ソール・ライター展

・会期:2008年1月17日〜4月13日
・会場:カルティエ=ブレッソン財団(パリ)
・評者:佐々木 悠介

連休中、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
3月にSaul Leiterというアメリカの写真家(1923年生まれ)のフランスでは初めての個展を、カルティエ=ブレッソン財団で見てきました。最初に彼の写真を見たのは今年に入ってからで、Photo Pocheのシリーズから出たばかりの小さな写真集でしたが、それ以来すっかり夢中です。基本的に街頭写真を撮っているのですが、非常に物静かで瞑想的な、それでいて時々ユーモラスな写真家の視線が感じられるだけでなく、特にカラー写真は、色彩の配置で構図が見事に決まっています。展覧会場から出て来ると、平凡な街の光景(色彩)が急に新鮮に見えてしまうような、そういう力を持った写真です。今回出品されたカラー図版はいずれもチバクローム(イルフォクローム)プリントですが、ほとんどがニューヨークのハワード・グリーンバーグ画廊が所蔵するもので、プリントの質も極めて高いものです。

カタログの取り寄せに時間がかかってしまい、ここに投稿するのも遅くなりました。が、結果から言うとカタログ自体はまさに「図録」で、あとは主催者の紹介文と、簡単な経歴と、本人のインタビューが載っているだけです。カルティエ=ブレッソン財団のカタログをずっと出しているドイツのSteidlから出ていますが、さすがにイルフォクロームプリントの現物のインパクトはありません。英語版とフランス語版がアマゾン等で出ているようですが、それは値段もそこそこしますので、写真に興味がある方は手軽なPhoto Pocheシリーズの写真集を入手してご覧になることをおすすめします。

ライターはこれまでほとんど注目されてこなかった写真家ですが、いずれちゃんと勉強するつもりです。

では引き続きGWをお楽しみ下さい。

投稿者: 東大比較文學會 日時: 2008年5月 3日 16:08

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