東大比較文学會
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『比較文學研究』第102号

『比較文學研究』第102号(特輯:研究を語る)が、2017年2月に刊行されました。定価は3,800円(税別)です。
以下は『比較文學研究』第102号の「編輯後記」です。

◎ 本号は『比較文學研究』第百号刊行を記念した前号を引き継いでの記念号とした。本会会員は比較文学比較文化研究というやや縛りのゆるい学問分野において、多様かつ多彩な研究を行っている。「研究を語る」とは、会員諸氏が携わるさまざまな研究の一斑を窺おうという趣旨の特輯である。
◎ 自分自身の研究であれ先人の研究であれ、研究者であればおのずから語りたい対象は定まることであろう。実際に原稿が集まってみると、ほとんどの寄稿者がみずからの研究を語ろうとする。唯一、藤岡氏の小島烏水論のみが先人の研究の跡を辿ろうとする論考であった。
◎ 研究の論文や本を著すにあたっては、おのずから先行の研究を参照することになる。先人の研究への言及は、われわれの研究の営みそのものに深くかかわる。一方で、自分自身の研究を語る機会は、それほどはないということなのかも知れない。結果的には本会中堅層の会員の比較研究への志と、その足跡を知る得がたい機会になった。
◎ 論文の配列は著者の大学院入学年度順とした。笠原氏は博士学位論文としてまとまった研究の余滴を記す。藤田氏と佐伯氏からは“How I Became a Comparatist.”とも言うべき文章をいただいが、醸しだされる趣はかなり異なる。鈴木氏は比較文学比較文化研究室のかつての雰囲気、気風をよく現在に伝えてくれている。
◎ 研究を行う環境は、研究にとってきわめて重要である。榎本氏は中国の国情の劇的な変化とみずからの研究を語る。花方氏は文献等へのアクセス環境の変化を語る。いずれも隔世の感を抱かせるに足る。また、千葉氏は研究というものを取り巻く政治的意味を問う。三浦氏の巻頭言とともに、会員の幅広い関心の在りかを示していよう。
◎ 本号には追悼文五編を掲載した。岡本さえ氏は東洋文化研究所に属しながら長らく比較文学比較文化研究室の教育研究に携わられた。小宮彰氏には東大比較文學會の活動を舞台裏から支えていただいた。林連祥氏には台湾の学界と比較文学比較文化研究室の橋渡しをしていただいた。ご冥福をお祈りする。
◎ 本号では博士論文審査報告および公開審査傍聴記の数がやや膨らんでいる。内情を明かせば「積み残し」がかなりある状況である。傍聴記の執筆は、大学院在籍の学生たちには、きわめて重要な仕事である。寄せられた原稿は、いずれも学問的刺戟に溢れる。次号以降も掲載数をふやしてゆく予定である。(菅原克也)