東大比較文学會
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『比較文學研究』第88号

『比較文學研究』第88号(特輯:異文化の異化と同化)は、2006年10月に刊行されました。
定価は3,700円です。

以下は『比較文學研究』第88号の「編輯後記」です。

二〇〇五年三月に大澤前主任が急逝された時、私たちのもとには多くの引き継ぐべき仕事が遺された。その一つが国際シンポジウムである。二〇〇五年一〇月一四日の国際シンポ「異文化の同化と異化」もまた、大澤さんの「遺産」であった。当日は日韓の研究者十数名が一堂に会し、論じ、そしてまたここに本来座るべき故人を偲ぶ会合となった(企画運営菅原克也)。

本特輯には、その折の発表から、本学会員二名の充実した論文を寄せていただいた。中村、須藤論文とも、ポストコロニアリズムの理論を自家薬籠中のものとしながら、片や「キリスト教布教」を、片や「異人種間恋愛譚」を契機に多数の作家を分析するダイナミックな論が展開されている。

そして若手二編(黄イクテイおよび黄善英氏)の特輯論文は、執筆中博士論文の一章となる予定のもの。ともに徹底した実証に拠った上で、台湾あるいは韓国近代知識人の苦悩をあぶりだす力作である。今回は巻頭言でも倉智氏に、特輯にふさわしい貴重な情報を寄せて頂き、有り難い。

範論文は一般投稿論文であるが、図らずも特輯に近いテーマであり、先行研究をよく咀嚼した詳論で、続編が期待される。

さて、二〇〇五年一二月の総会で、故大澤事務局長の職は井上健氏に引き継がれた。また今年度から新たに、編集委員会内に「書評委員会」を立ち上げ、会員の新刊書および比較の学問分野に関わる学会内外の著作を広く情報収集し、取り上げていく体制を整えた。委員には卒業間もないOBや現院生に多く加わってもらい、若い力を反映させたいと思っている。本号にすでにその成果が生かされているはずである。

展覧会カタログ評の方でも、すでに二年前から院生委員会が活動し、情報収集に当たるとともに、博士課程院生の中から、毎号ひとりの評者を選ぶ仕事をしている。すでに本号の曽我氏で三人目となり、今後も楽しみである。

本年一〇月に、比較研究室の公式ホームページを一新。また本年中に、ようやく東大比較文学会のホームページを新たに立ち上げる予定である。『比較文學研究』全号の目次総覧や検索などが出来るだけでなく、会員にも情報を寄せて頂けるコーナーがあり、皆さんの積極的な参加をお待ちする次第である。(今橋映子)