2018年12月31日

第102號 特輯 研究を語る Special Issue: Academic Studies: Recollections and Reflections 2017年2月

              
開始ページ

終了ページ
著者名
ヨミ
Alphabet
その他外国語
日本語タイトル 外国語タイトル 分類 訳者名
ヨミ
Alphabet
備考
1-5 三浦俊彦
ミウラ トシヒコ
Miura Toshihiko
反戦という文化の営みかた How to Maintain Antiwar Cultures 巻頭言    
6-17 笠原賢介
カサハラ ケンスケ
Kasahara Kensuke
レッシング,ヘルダーにおける非ヨーロッパとヨーロッパDie außereuropäische Welt und Europa bei Lessing und Herder    
18-31 藤田みどり
フジタ ミドリ
Fujita Midori
余は如何にして劣等人種となりし乎――アフリカン・ディアスポラ,黒人表象研究,アフリカ文学 How I Became a Heathen: Studying the African Diaspora and the Image of Black People      
32-41 千葉一幹
チバ カズミキ
Chiba Kazumiki
自由・平等・友愛の場としての人文学Liberté, Égalité, Fraternité comme principes de base des sciences humaines      
42-51 佐伯順子
サエキ ジュンコ
Saeki Junko
わが研究の道――演劇研究から女性研究へ My Journey as a Researcher: In Appreciation of Johan Huizinga, the Great Cultural Historian      
52-63 藤岡伸子
フジオカ ノブコ
Fujioka Nobuko
文化の巨人・小島烏水における研究の力The Power of Study in the Making of the Cultural Giant Kojima Usui      
64-74 榎本泰子
エノモト ヤスコ
榎本泰子
中国を研究することの個人的な意味 我心目中的中国研究      
75-85 花方寿行
ハナガタ カズユキ
Hanagata Kazuyuki
日本におけるスペイン語圏文学文化研究の三十年――私的瞥見Memoria personal sobre tres décadas de estudios de literature y cultura hispánica en Japón      
86-97 鈴木禎宏
スズキ サダヒロ
Suzuki Sadahiro
情報通信技術と人文学――学際的研究と文章解釈をめぐって ICT and the Humanities: Some Speculations on “Interdisciplinary Studies” and the Explication de Text      
98-116 小林信行
コバヤシ ノブユキ
Kobayashi Nobuyuki
円熟期の島田謹二教授――書誌の側面から(17)Dr. Shimada Kinji’s Mature Years as Seen through His Writings (XVII)      
117-120   第十二回島田謹二記念学藝賞について The Twelfth Awarding of the Shimada Kinji Prize for Comparative Literature      
121-127 岡野宏
オカノ ヒロシ
Okano Hiroshi
「オットー・クンツリ」展 Otto Künzli: The Exhibition 展覧会カタログ評    
128-131 古田島洋介
コタジマ ヨウスケ
Kotajima Yōsuke
珍妙な訓読 Critique of a Curious Example of Kambun-Kundoku (Japanese Reading of a Chinese Poetry) Le Rond-Point    
131-133 西原大輔
ニシハラ ダイスケ
Nishihara Daisuke
岡本さえ先生を偲ぶ In Memory of Prof. Okamoto Sae Le Rond-Point    
134-136 大久保喬樹
オオクボ タカキ
Ōkubo Takaki
小宮さんと私 Mr. Komiya and Me Le Rond-Point    
136-139 上垣外憲一
カミガイト ケンイチ
Kamigaito Ken'ichi
小宮彰さんを偲ぶ In Memory of Mr. Komiya Akira Le Rond-Point    
139-145 平川祐弘
ヒラカワ スケヒロ
Hirakawa Sukehiro
林連祥さまの思い出 Reminiscences of Mr. Lin Lien-hsiang Le Rond-Point    
145-147 古田島洋介
コタジマ ヨウスケ
Kotajima Yōsuke
林連祥先生追悼文 A Eulogy on the Late Professor Lin Lien-hsiang Le Rond-Point    
147-149 菅原克也
スガワラ カツヤ
Sugawara Katsuya
加藤百合氏博士論文「明治期露西亜文学翻訳論攷」審査結果の要旨 Examiners’ Comments on Ms. Katō Yuri’s Doctoral Thesis, “A Study on Japanese Translations of Russian Literature in the Meiji Era” Le Rond-Point    
149-156 松枝佳奈
マツエダ カナ
Matsueda Kana
加藤百合氏博士論文公開審査傍聴記 Ms. Katō’s Thesis Defense Le Rond-Point    
156-158 三角洋一
ミスミ ヨウイチ
Misumi Yōichi
永井久美子氏博士論文「物語絵巻に見る後白河院政期――『伴大納言絵巻』『彦火々出見尊絵巻』『吉備大臣入唐絵巻』を中心に」審査結果の要旨 Examiners’ Comments on Ms. Nagai Kumiko’s Doctoral Thesis, “Political Implications Illustrated Narrative Scrolls in the Period of the Cloistered Emperor Goshirakawa, Centering on Ban Dainagon Emaki, Hikohohodeminomikoto Emaki, and Kibi Daijin Nittō Emaki Le Rond-Point    
159-162 金有珍
キム ユジン
Kim Youjin
永井久美子氏博士論文公開審査傍聴記 Ms. Nagai’s Thesis Defense Le Rond-Point    
162-164 菅原克也
スガワラ カツヤ
Sugawara Katsuya
菊池有希氏博士論文「日本におけるバイロン熱」審査結果の要旨 Examiners’ Comments on Mr. Kikuchi Yūki’s Doctoral Thesis, “Byromania in Japan” Le Rond-Point    
165-168 田中有美
タナカ ユミ
Tanaka Yumi
菊池有希氏博士論文公開審査傍聴記 Mr. Kikuchi’s Thesis Defense Le Rond-Point    
168-170 菅原克也
スガワラ カツヤ
Sugawara Katsuya
牧野陽子氏博士論文「〈時〉をつなぐ言葉――ラフカディオ・ハーンの再話文学」審査結果の要旨 Examiners’ Comments on Ms. Makino Yōko’s Doctoral Thesis, “Words that Connect Time: Lafcadio Hearn’s Retold Stories” Le Rond-Point    
170-175 川澄亜岐子
カワスミ アキコ
Kawasumi Akiko
牧野陽子氏博士論文公開審査傍聴記 Ms. Makino’s Thesis Defense Le Rond-Point    
175-177 桜井英治
サクライ エイジ
Sakurai Eiji
手島崇裕氏博士論文「平安時代の対外関係と仏教――入宋僧を中心に」審査結果の要旨 Examiners’ Comments on Mr. Teshima Takahiro’s Doctoral Thesis, “Foreign Relations and Buddhism in the Heian Era: With Special Emphasis on the Japanese Priests Who Studied Abroad in China” Le Rond-Point    
177-181 中井真木
ナカイ マキ
Nakai Maki
手島崇裕氏博士論文公開審査傍聴記 Mr. Teshima’s Thesis Defense Le Rond-Point    
1-9   外国語要約 Abstracts      

2018年12月25日

第29回金素雲賞 趙怡

平成30年度に学位授与された博士論文「金子光晴・森三千代の海外体験と異郷文学」に対しての授賞。
平成30年12月21日開催の東大比較文学會総会にて承認。
趙怡氏は現在、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院で研究員を務める。

[2019/1/21更新:当初掲載した記事には博士論文の題目に誤字がありました。お詫びして訂正いたします]

2018年12月17日

『比較文學研究』第104号

『比較文學研究』第104号(特輯:朝鮮からの視野:古代から近代まで)が、2018年11月に刊行されました。定価は3,800円(税別)です。
以下は『比較文學研究』第104号の「編輯後記」です。

◎ 特輯の「朝鮮」は、「日本」と同じく、日本で通用してきた地理上の概念とする。朝鮮の文学や文化への認識を深めることは、それ固有の意義を持つだけではない。古代以来の日本の文学や文化の探究において朝鮮との関係への目配りは不可欠であり、さらに東アジアの文学の様相と展開を見ようとする際にも、朝鮮に視点を据えることの有効性は示唆されてきた。つまりそれは比較文学の重要な課題でもある。本誌でも二十世紀以降については、とくに日本との関係においてしばしば論じられてきたが、本号では、その前提をなす古代から十九世紀までの期間に目を向け、朝鮮からの視野の具体化を試みた。残念ながら今回掲載に至らなかった論文もあるが、三氏からのご寄稿を以て特輯とした。
◎ 李芙鏞論文は、『源氏物語』に現れる唐楽、高麗楽といった舞楽に着目し、その特徴や背景から、物語での意味作用に新たな光を当てている。
◎ 趙恵蘭氏は朝鮮の中世文学の専門家であり、とくに寄稿をお願いした。日本で紹介されることの少ない高麗時代の文人学者李奎報の思想と文業とを生き生きと論じる。比較考察は含まないものの、政治と文学とに生きたその軌跡に、読者は日本の文人との対比に誘われるのではないだろうか。例えば「紅旗征戎吾が事に非ず」と記した藤原定家は同年に歿した同時代人である。
◎ 李禮安論文は、若き知識人兪吉濬が祖国の未来のため、明治日本の啓蒙書を養分としつつ新たなテキストを編み出す営為を追う。それは同時に福澤諭吉らによる明治日本の啓蒙の意味を問い直す試みになっている。
◎ 崔博光氏は巻頭言にて、特輯によせて、近世の朝鮮通信使を介した日朝の学者たちの交流の充実を活写して下さった。
◎ 松枝佳奈論文は、内田魯庵の同時代ロシア問題に対する積極的な言論活動とその意義とを明らかにし、魯庵研究の新たな地平を提示する。なお本論文は、編輯委員会の厳正な査読を経て掲載が決定した。
◎ 島田謹二記念学藝賞が最終回を迎えたことを機に、銓衡委員三氏による鼎談を掲載した。自由闊達に語られる受賞作の選評、全十五回の回顧の中に、比較文学研究の目指すもの、その方法に亘って、比較文学を志す者への真率な提言が溢れている。
◎ 「平成」時代の終わりに当たり、この語の正確な理解を追求し、経書研究や元号の問題にまで及ぶ古田島洋介氏の論考を掲載できたのは有難いことだった。
◎ 編輯上の事情により、本号の刊行が大幅に遅れたことを心からお詫び申し上げる。(徳盛誠)

2018年1月 9日

第28回金素雲賞 裵寛紋

著書『宣長はどのような日本を想像したか-『古事記伝』の「皇国」』(笠間書院、平成29年)に対しての受賞。
平成29年12月22日開催の東大比較文学會総会にて承認。

2017年12月15日

第101號 特輯 エクスプリカシオン・ド・テクスト(本文の解釈) Special Issue: Explicaton de texte 2016年6月

              
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著者名
ヨミ
Alphabet
その他外国語
日本語タイトル 外国語タイトル 分類 訳者名
ヨミ
Alphabet
備考
1-3 菅原克也
スガワラ カツヤ
Sugawara Katsuya
エクスプリカシオン・ド・テクストについて On the Concept of "Explication de texte" 巻頭言    
4-12 田村隆
タムラ タカシ
Tamura Takashi
貫之が諫めKino Tsurayuki's Admonition Reconsidered: The Intentional Avoidance of Quoting Chinese Poetry in Classical Japanese Tales 和歌・物語    
13-29 平川祐弘
ヒラカワ スケヒロ
Hirakawa Sukehiro
『源氏物語』の歌とウェイリーの英訳――エクスプリカシオンの試み Arthur Waley's Various Poetical Experiments in Translating Uta in The Tales of Genji 和歌・物語    
30-43 永井久美子
ナガイ クミコ
Nagai Kumiko
「小宰相身投」を読む――小宰相と通盛、その出会いの物語と『源氏物語』Kozaishō's Death by Drowning in The Tales of the Heike: A Narrative Compared with Its Counterpart in The Tales of Genji 和歌・物語    
44-54 金光林
キン コウリン
Jin Guang Lin
十九世紀に海を渡った一本の標木の文化的・民俗学的意味 Cultural and Folkloric Significance of a Sign-Post Pole That Crossed the Sea in the Nineteenth Century 漢詩文    
55-64 張偉雄
チョウ イユウ
張偉雄
漢詩で詠った「伊呂波」黄遵憲詩歌中的"日本語論" 漢詩文    
65-72 古田島洋介
コタジマ ヨウスケ
Kotajima Yōsuke
森鷗外「鈴木孫司墓誌銘」注釈――《鷗外全集》未収作品 A Commentary on Mori Ōgai's Epitaph for Suzuki Magoji 漢詩文    
73-80 森田直子
モリタ ナオコ
Morita Naoko
〈妖精物語〉のなかの自然の脅威――ペロー「親指小僧」における夜の森Ferocity of the Nature in a Fairy Tale: The Night Forest As Described by Charles Perrault in His "Petit Poucet" 童話・民話    
81-88 佐藤宗子
サトウ モトコ
Satō Motoko
灯りを点しつづけるのは誰か――小川未明「赤い蝋燭と人魚」を読む Who Keeps the Candle Lit?: Reading Ogawa Mimei's "The Red Candle and the Mermaid" 童話・民話    
89-101 趙怡
チョウ イ
趙怡
金子光晴の未発表作品をめぐって――「支那名劍武勇傳 一、龍神劍。」解読金子光晴的未発表作品:《支那名劍武勇傳 一,龍神劍。》 童話・民話    
102-110 増田裕美子
マスダ ユミコ
Masuda Yumiko
時の流れのなかの人生――『倫敦塔』を読む Life in the Stream of Time: Reading Rondontō (The Tower of London) by Natsume Sōseki 散文・戯曲    
111-119 大久保美春
オオクボ ミハル
Ōkubo Miharu
岡倉覚三『茶の本』The Book of Tea――日本文化の精髄 The Book of Tea by Okakura Kakuzō: The Essence of Japanese Culture 散文・戯曲    
120-133 井戸桂子
イド ケイコ
Ido Keiko
「日本の島々」(ポール・クローデルの『繻子の靴』三日目第八場より)――高みに昇る、垂直方向の詩句 Paul Claudel's "Les Iles du Japon" (Act VIII of the Third Day from Le Soulier de satin): Ascending Movement of the Text 散文・戯曲    
134-142 林容澤
イム ヨンテク
Rheem Yong Tack
猫の詩をめぐる日韓小比較――萩原朔太郎と李章熙を中心に A Comparative Study of Some Poems by Hagiwara Sakutarō and Lee Jang-Hee on the Subject of a Cat    
143-147 小川敏栄
オガワ トシエイ
Ogawa Toshiei
中原中也「盲目の秋」の「I」を読む Reading "A Blind Man's Autumn, no. I" by Nakahara Chūya    
148-156 西原大輔
ニシハラ ダイスケ
Nishihara Daisuke
高田敏子「布楽海岸」 Takada Toshiko's Poem, "Mera Kaigan (The Shore of Mera)    
157-170 川本皓嗣
カワモト コウジ
Kawamoto Kōji
沈黙の音楽――マラルメの「聖女」を読む La musique du silence: Lire la "Sainte" de Mallarmé    
171-180 澤入要仁
サワイリ ヨウジ
Sawairi Yōji
謎かけの効用――エミリー・ディキンソンと鉄道 The Function of a Riddle: Emily Dickinson and the Railroad    
181-197 芳賀徹
ハガ トオル
Haga Tōru
五月雨のなかの異界へ――夏目漱石の小品「蛇」 A Grim Apparition from under the Heavy Summer Rain: Natsume Sōseki's Short Piece, "The Snake" 小説    
198-206 崔在喆
チェ ゼチォル
Choi Jae-Chul
『古都』冒頭の季節表現と川端文学の特徴 The Expression of Seasons at the Beginning of Kawabata Yukinari's Novel Koto (The Old Capital): An Analysis of the Characteristics of His Literary Works 小説    
207-215 大貫徹
オオヌキ トオル
Ōnuki Tōru
「遠い空」あるいは富岡多恵子の仕掛けを読む Story-Telling Devices Employed in Tomioka Taeko's Short Story "Tōi Sora (The Deep Sky)" 小説    
216-231 中村健之介
ナカムラ ケンノスケ
Nakamura Kennosuke
「夢見る死産児」――なぜトルソツキーは妻の不倫に気づかなかったのか F. M. Dostoevsky's "Stillborn Dreamer" 小説    
232-244 中村和恵
ナカムラ カズエ
Nakamura Kazue
ホロウェイの歌――Jean Rhys, "Let Them Call It Jazz" The Holloway Song: Jean Rhys' "Let Them Call It Jazz" 小説    
245-252 須藤直人
スドウ ナオト
Sudō Naoto
パラオ絵物語と中島敦の南島譚――無文字社会文化の文字テクスト化 A Palauan Illustrated Story and Nakajima Atsushi's Novels on the South Sea Islands: Rendering the Culture of Non-Literate Society into a Literary Text 絵画・写真    
253-262 堀江秀史
ホリエ ヒデフミ
Horie Hidefumi
寺山修司《母地獄》を読む Reading Terayama Shūji's "Haha Jigoku (Mother Earth Hell)" 絵画・写真    
263-272 信岡朝子
ノブオカ アサコ
Nobuoka Asako
写真の限界、テクストの意義――水俣病を描くということ Reading Minamata-Disease Documentary Photography: The Role of a Literary Text and What It Reveals 絵画・写真    

2017年10月23日

『比較文學研究』第103号

『比較文學研究』第103号(特輯:イギリス・ロマン主義の受容と変容)が、2017年9月に刊行されました。定価は3,800円(税別)です。
以下は『比較文學研究』第103号の「編輯後記」です。

◎ 本号は「イギリス・ロマン主義の受容と変容」を特輯として、中世趣味、異国趣味、古代の理想化、反逆と革命、悪魔、英雄、無意識、ゴシック、自然、想像力、感受性などロマン主義の特徴とされる諸要素が、どのように受け継がれ、拒否され、変貌したか、という問題について考えることを目指した。日英比較文学の枠組と英文学の枠組で、四点の論文をお寄せいただいた。アルヴィ宮本なほ子先生は、パーシー・ビッシュ・シェリーの研究者として広く知られており、東大駒場地域文化研究専攻で教鞭を執られている。非会員の専門家として、今回の特輯に御寄稿をお願いした。
◎ 一般投稿論文二点は、偶然であるが、今回の特輯にゆるやかにつながっている。ロマン主義の特徴は多岐にわたり、一回の特輯で取り組める内容は限られたものになる。多文化共生や自然環境保全と産業革命など、現代社会の問題に関連のあるロマン主義のテーマも、機会があれば取り上げてみたい。
◎ 佐伯彰一先生の追悼文三編を掲載した。京都で学生時代を過ごした私は、佐伯先生の謦咳に接したことはない。しかし、本棚に行儀よく納まっていた『日本人の自伝』(講談社学術文庫)を開いてみると、随所に線が引いてあり、「一九九一、九、三 京大中央書籍部」という書き込みがあった。奥付に「一九九一年八月十日第一刷発行」とあるので、学術文庫版刊行後間もなく入手して、熱心に読んだようである。二十二歳の私が何を受け取ったのか、蒔かれた種は芽を出したのか、土の浅い所に落ちたのか、茨の中で実を結ばなかったのか、極めて心許ないところであるが、勝手に御縁を感じている。『比較文學研究』第四十三号「研究室だより」と第四十五号「比較文学開眼の思い出」とあわせて、追悼文を拝読した。
◎ 第四十五号の特輯は東大比較文學會三十年であり、佐伯彰一「比較文学開眼の思い出」の他に、島田謹二「三十年の回顧(談)」が収録されていた。学統の重みを意識しつつ、こちらも興味深く拝読した。
◎ 本号の編輯は佐藤光が担当しました。二〇一二年十二月の東大比較文學會総会で編輯委員を仰せつかり、これまで若手奨励研究コロキアムの運営と『比較文學研究』投稿論文の査読に従事して参りました。『比較文學研究』の編輯は今回が初めてです。学統の火をともし続けていくために、微力を尽くして参りたいと思います。会員の皆さまにおかれましては、辛抱強く見守っていただきますようお願い申し上げます。(佐藤光)

2017年2月24日

第27回金素雲賞 金志映、柳忠熙(同時受賞)

金志映氏...平成27年度提出の博士論文「戦後日本の文学空間における「アメリカ」-占領から文化冷戦の時代へ」に対しての受賞。
柳忠熙氏...平成28年度提出の博士論文「尹致昊と朝鮮の近代-東アジアにおける知識人エトスの変容と啓蒙のエクリチュール」に対しての受賞。
平成28年12月16日開催の東大比較文学會総会にて承認。

『比較文學研究』第102号

『比較文學研究』第102号(特輯:研究を語る)が、2017年2月に刊行されました。定価は3,800円(税別)です。
以下は『比較文學研究』第102号の「編輯後記」です。

◎ 本号は『比較文學研究』第百号刊行を記念した前号を引き継いでの記念号とした。本会会員は比較文学比較文化研究というやや縛りのゆるい学問分野において、多様かつ多彩な研究を行っている。「研究を語る」とは、会員諸氏が携わるさまざまな研究の一斑を窺おうという趣旨の特輯である。
◎ 自分自身の研究であれ先人の研究であれ、研究者であればおのずから語りたい対象は定まることであろう。実際に原稿が集まってみると、ほとんどの寄稿者がみずからの研究を語ろうとする。唯一、藤岡氏の小島烏水論のみが先人の研究の跡を辿ろうとする論考であった。
◎ 研究の論文や本を著すにあたっては、おのずから先行の研究を参照することになる。先人の研究への言及は、われわれの研究の営みそのものに深くかかわる。一方で、自分自身の研究を語る機会は、それほどはないということなのかも知れない。結果的には本会中堅層の会員の比較研究への志と、その足跡を知る得がたい機会になった。
◎ 論文の配列は著者の大学院入学年度順とした。笠原氏は博士学位論文としてまとまった研究の余滴を記す。藤田氏と佐伯氏からは“How I Became a Comparatist.”とも言うべき文章をいただいが、醸しだされる趣はかなり異なる。鈴木氏は比較文学比較文化研究室のかつての雰囲気、気風をよく現在に伝えてくれている。
◎ 研究を行う環境は、研究にとってきわめて重要である。榎本氏は中国の国情の劇的な変化とみずからの研究を語る。花方氏は文献等へのアクセス環境の変化を語る。いずれも隔世の感を抱かせるに足る。また、千葉氏は研究というものを取り巻く政治的意味を問う。三浦氏の巻頭言とともに、会員の幅広い関心の在りかを示していよう。
◎ 本号には追悼文五編を掲載した。岡本さえ氏は東洋文化研究所に属しながら長らく比較文学比較文化研究室の教育研究に携わられた。小宮彰氏には東大比較文學會の活動を舞台裏から支えていただいた。林連祥氏には台湾の学界と比較文学比較文化研究室の橋渡しをしていただいた。ご冥福をお祈りする。
◎ 本号では博士論文審査報告および公開審査傍聴記の数がやや膨らんでいる。内情を明かせば「積み残し」がかなりある状況である。傍聴記の執筆は、大学院在籍の学生たちには、きわめて重要な仕事である。寄せられた原稿は、いずれも学問的刺戟に溢れる。次号以降も掲載数をふやしてゆく予定である。(菅原克也)

2016年6月10日

第101號(2016年6月)

彙報(1) p.64
―研究室および学会関連行事(二〇一五年度上半期)

4月1・2日(水・木) 比較文学比較文化コース・オリエンテーション(於駒場・十八号館)
4月5日〈日) 島田謹二先生を偲ぶ会(於上野・精養軒)
5月15日(金) 博士論文中間発表会
5月19日(火) Margaret Mehl先生(コペンハーゲン大学)講演会「歴史家の音楽研究への挑戦―音楽はなぜ専門家だけに委ねるには重要すぎるのか」
5月23日(土) 笠原賢介氏博士論文「ドイツ啓蒙と非ヨーロッパ世界-クニッゲ、レッシング、ヘルダーを中心にして」公開審査
5月30日(土) 第十二回大澤コロキアム(於駒場・八号館)
6月13・14日(土・日) 第七十七回日本比較文学会全国大会(於立命館大学)
7月4日(土) 修士論文中間発表会
7月17日(金) 研究室懇親会
7月24日(金) 李賢晙氏博士論文「描かれる舞姫、描かせる舞姫-崔承喜(一九一一~一九六九)における朝鮮文化の表象」公開審査
9月3日(木) 中井真木氏博士論文「直衣参内の研究-日本王朝社会の権力と服装」公開審査

―研究室および学会関連行事(二〇一五年度下半期)

彙報(2) p.80
―研究室および学会関連行事(二〇一五年度上半期)

10月31日(土) 谷和樹氏博士論文「『古事記』における〈古〉の世界」公開審査
11月20日(金) 博士論文中間発表会


































12月18日(金) 『比較文學研究』第百號合評会、若手奨励研究コロキアム「みずからを語る声-独白と告白」」、東大比較文學會総会、研究室懇親会(於駒場・十八号館)  
1月24日(日) 金志映氏博士論文「戦後日本の文学空間における「アメリカ」-占領から文化冷戦の時代へ」公開審査
1月26日(火) 新井潤美氏博士論文「英国文化における「ロウワー・ミドル・クラス」イメージの成立と表象-ダニエル・デフォーからカズオ・イシグロまで」公開審査
10月31日(土) 林久美子氏博士論文「世紀転換期における日仏文化交渉史(一八九〇-一九二〇年代)-フランス美術行政にみる日本美術観を中心に」公開審査
2月8日(月) 博士課程入学志願者二次(口述)試験

文景楠氏博士論文「説明理論としての質料形相論」公開審査
2月16・17日(火・水) 修士課程入学志願者二次(口述)試験

松居竜五氏博士論文「南方熊楠の学問形成」公開審査
3月24日(木) 学位記授与式
3月26日(土) 佐伯彰一先生を偲ぶ会(於神田・学士会館)

―客員教授(所属と研究期間)



―客員研究員(所属と研究主題と期間)


氏名 所属 研究期間
沼野恭子 東京外国語大学大学院総合国際学研究院 二〇一五年九月~二〇一六年三月














氏名     所属 テーマ 期間
毛振華 中国・浙江外国語学院中文学院 侯景之乱後の梁陳文学研究」 二〇一六年二月~二〇一六年八月

『比較文學研究』第101号

『比較文學研究』第101号(特輯:エクスプリカシオン・ド・テクスト(本文の解釈))が、2016年6月に刊行されました。定価は5,000円(税別)です。

以下は『比較文學研究』第101号の「編輯後記」です。

◎ 本号は『比較文学研究』百号刊行を記念して「エクスプリカシオン・ド・テクスト(本文の解釈)」特別号とした。
◎ エクスプリカシオン・ド・テクストについては、巻頭言でやや原理的な考察を試みた。実践例には、一九七七年十一月刊行の『文章の解釈』(平川祐弘・亀井俊介・小堀桂一郎編、東京大学出版会)、一九九四年十月刊行の叢書比較文学比較文化6『テクストの発見』(大澤吉博編、中央公論社)がある。島田謹二・富士川英郎・氷上英廣編『比較文学読本』(研究社出版、一九七三年一月)も忘れてはならない。いずれも比較文学研究の芯になるところを、具体例に即して論じた文章が並ぶ。今号は、基本的にこれらの先例に倣った。
◎ 編輯にあたっては、広く会員に寄稿を呼びかけた。当初こちらが示した形式は、冒頭に扱うテクストの本文そのものを千字程度まで引用し、引用にもとづいて二十枚から三十枚(四百字詰原稿用紙換算)の文章を綴るというものであった。三十名の会員から反応があり、結果として二十五編が集まった。書式に従うもあり、従わざるもあって、書き手の個性があらわれたようである。
◎ 記念号を編輯する立場として、テクストの選定には一切注文をつけなかった。寄せられた原稿には、エクスプリカシオン・ド・テクストというより、論文の体裁をとるものもあったが、あえてそのまま掲載した。エクスプリカシオン・ド・テクストとして規範的な書きぶりを示す文章と、そうではない文章が混在するのは、見ての通りである。
◎ 扱われているテクストは『源氏物語』あり、寺山修司の写真あり、マラルメの詩あり、鴎外の墓誌ありと、実に多様である。分類は編輯委員杉田英明氏にすべてお任せした。杉田氏の綿密をきわめる編輯・校閲のお仕事には、いつもながら頭が下がる思いである。『比較文学研究』が百号刊行に漕ぎつけたのも、近年は杉田氏の御尽力によるところが大きい。
◎ 特別号への寄稿を募るにあたり、エクスプリカシオン・ド・テクストの特輯を組むと伝えることで、会員からこれだけの反響があったのは心づよい。テクストに向きあう当然の手続きが、疎かにされないことを願う。
◎ 本年六月には、日本比較文学会第七十八回全国大会が駒場キャンパスで開催される。一九八二年の大会以来、三十四年ぶりのことである。若い大学院生たちによる準備も進む。学問の場を受け継ぐ、よい機会となろう。(菅原克也)

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