著者:桶谷 秀昭
編者:
訳者:
出版社:文藝春秋(文春文庫)
出版年:1996年
書評:本書は、昭和初年から敗戦直後までの激動の時代を、幾人もの個人(小説家、詩人、思想家など)の精神の葛藤のさまを叙述することによって、生きた歴史として浮き彫りにすることを目指した書である。著者は、当時の様々な思潮(マルクス主義、モダニズム、日本浪曼派、西田哲学、「近代の超克」論、大アジア主義など)と情況の深い関わりを直視し、「昭和の精神」というテクストを熟読玩味しつつ、「東アジア文明圏の中の日本といふ世界認識」について再検証することを試みている。本書は、「比較」という方法を全面に出しているわけではないが、西洋をモデルとしてきた日本の近代化が抱える諸問題に真摯に取り組もうとする者であれば、そこに多くの有益な視点を見出すであろう。なお、本書には「続篇」として、『昭和精神史 戦後篇』がある。

