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2017年7月 アーカイブ

2017年7月22日

CatalTo 2016 開催〔1〕

日時:2017年6月2日(金)14:00-17:00
場所:駒場博物館セミナー室
出席者:CatalTo(展覧会図録品評勝手連TOKYO)メンバー計18名
メンバー=教員2名(学内)、大学院生およびOBOG 16名(学内外)

活動報告:2017年6月2日(金)、記念すべき第一回CatalToとなるCatalTo 2016が開催されました。今回は、東京およびその近郊の美術館・博物館等で2016年度に開催中もしくは会期がスタートした企画展、巡回中もしくは巡回が始まった企画展の展覧会カタログ、計110点以上を選考対象としました。

 CatalTo 2016の選考結果および受賞カタログ・ポスターに対する選評は以下の通りです。

・CatalTo総合賞(学術性やデザイン性、独創性、娯楽性など総合的に見て良質です)
『色の博物誌 江戸の色彩を視る・読む』(目黒区美術館、2016年10月22日--12月18日)
(選評)
「多方面から解き明かされる江戸の色彩美」
 色の原材料そのものに着眼するというきわめて独創的かつ意欲的な試み。カタログの紙面を彩る美しい色材の数々は華やかで、読者の眼を豊かに愉しませます。それのみならず、考古学・民俗学・歴史学・美術研究を横断する多ジャンルの文化史的研究が展開されています。江戸時代の国絵図と浮世絵を支えた、色をめぐる卓越した江戸の技術の粋をも一挙に知ることのできる贅沢な一冊。


・CatalTo学術賞(論文や解説、書誌等が充実し、特に高い学術的価値を賞します)
『シャセリオー展 19世紀フランス・ロマン主義の異才』(国立西洋美術館、2017年2月28日--5月28日)
(選評)
「知られざる巨匠の魅力に正攻法で迫りゆく」
 日本ではこれまで、ほとんど知られていなかった画家の魅力を、高い学術性に基づき紹介した展覧会のカタログ。内容の核となる論文、作品解説は言うまでも無く、関連年表・地図、参考文献といった資料の部分にも執筆者陣の熱意が込められており、繰り返し手に取る度に新しい知見や研究上のヒントを得ることの出来る一冊です。

『花森安治の仕事 デザインする手、編集者の眼』(世田谷美術館、2017年2月11日--4月9日。2017年4月から10月まで他三館に全国巡回)
(選評)
「圧倒的なまでの資料価値!」
 雑誌編集のプロセスという珍しい題材で企画された展覧会が盛況に終わったのは、テレビドラマの効果だけではないだろう。徹底して資料を集め、花森の仕事の全貌を提示しようという企画者の熱意の賜だ。また同時に、「作家」「作品」ではなくその伝達媒体・プロセスに焦点を当てるという側面も持っており、その意味でも日本の展覧会企画に新たな可能性を提示したと言える。充実したカタログは、今後の雑誌研究において貴重な資料となるに違いない。


・CatalTo印刷賞(出品作品の図版や画像の再現性や色彩の美しさを賞します)
『並河靖之七宝 明治七宝の誘惑 透明な黒の感性』(東京都庭園美術館、2017年1月14日--4月9日。2017年9月から12月まで他二館に全国巡回)
(選評)
「「透明な黒」と静謐な七宝の美を堪能する一冊」
 単なる超絶技巧でない、「透明な黒」から浮かび上がる文様の、息を飲む美しさと静謐さを再現。形態にも帯にも凝って、並河七宝への敬愛が表現されている図版印刷の質の高さを味わいたい一冊。もちろん学術的にも大変深い内容が展開されています。


・CatalTo薄くても良いで賞(小規模ながら、解説・情報等の量や質の水準が高いです)
『近代日本のイタリア発見 岩倉使節団の記録から』(久米美術館、2016年7月1日--7月24日。2016年10月1日--10月30日に京都外国語大学国際文化史料館に巡回)
(選評)
「発見し発見される越境者たちの濃密な旅」
 明治維新期に欧米諸国を歴訪した岩倉使節団。そのイタリア滞在を、『米欧回覧実記』の執筆者・久米邦武の関連資料に加え、当時の新聞や公文書などイタリア側の新資料も参照しながら詳細に辿ります。パネル展示をまとめたわずか38ページのカタログですが、とにかく内容が豊富。近代日本が見たイタリア、そして近代イタリアが見た日本。その驚きと発見に迫るとともに、いまひとたび日伊関係に目を向けるきっかけとなる一冊です。

(〔2〕に続く)

(2017年7月22日 文責:松枝佳奈)

CatalTo 2016 開催〔2〕

日時:2017年6月2日(金)14:00-17:00
場所:駒場博物館セミナー室
出席者:CatalTo(展覧会図録品評勝手連TOKYO)メンバー計18名
メンバー=教員2名(学内)、大学院生およびOBOG 16名(学内外)

活動報告:(〔1〕の続き)

・CatalTo一般にオススメで賞(高い独創性や娯楽性から、ぜひ多くの読者に手に取っていただきたいです)
『南極建築 1957-2016』(LIXILギャラリー1(東京)、2017年3月30日--5月27日。2016年12月9日--2017年2月21日にLIXILギャラリー大阪で開催)
(選評)
「氷のフロンティアを拓く人々の生活を追体験させてくれる一冊」
 1911年にノルウェーのアムンセン隊が前人未到の極地に到達してから、およそ100年が経過した今もなお、南極という地はロマン溢れるフロンティアとして一般的には認識されています。『南極建築 1957-2016』は、そのような極地での過酷な環境の中で仕事をする人々の生活を、豊富な建築技術とともに紹介してくれる一冊となっています。ページのデザインやレイアウト、紙質に工夫が凝らされ、なおかつ設計図面や写真、そして温かみのあるイラストレーションによって巧みに構成されたこの一冊は、誰も想像さえ出来なかった南極での生活を、私たちに追体験させてくれる機会を提供してくれます。

・CatalTo国際交流賞(外国の美術館や博物館との緊密な協力を賞します)
『漢字三千年 漢字の歴史と美』(東京富士美術館、2016年10月20日--12月4日。2017年3月から9月まで他四館に全国巡回)
(選評)
「漢字の変遷と共に、時を超える旅をしよう。」
 漢字は、三千年の時空を超えてやってきた。新石器時代から今日まで、漢字は使い続けられるほど、その美しさが増す。漢字字体の変遷のみならず、書かれる素材の豊かさも驚かせる。
17ヶ所の中国の博物館・研究機関から国家一級文物23点を含む約110点を出品するとはなかなか得難い規模である。日中国交正常化四十五周年にあたって、同じく漢字圏にある日中両国の共有できる歴史そのものとしての漢字を展示するのは両国の友好と平和にとっても意義深い。

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・CatalToポスター賞(優れた特色があり、デザイン性が高いと認められるポスターです)
『女たちの絹絵 ベトナム絹絵画家グエン・ファン・チャン 3rd絵画保存修復プロジェクト展』(上野の森美術館ギャラリー、2017年5月10日--5月16日)*本展の会期は2016年度ではありませんが、その掲示用ポスターが特色のある優れたデザインであったため授賞することとなりました。
(選評)
「風に揺れ光を通す絹絵から、静かな涼が漂う。」
 ベトナムには、ソンロウ河の底に美しい怪魔が住み、乙女に呪いをかけて引きずり込むという民間伝承があるそうです(松村武雄『インドネシア・ベトナムの神話伝説』)。この絹絵を前にすると、洞窟の底――しずくの音が谺するひんやりと静かな空間――にいるような気持ちになりますが、ちょうどここに描かれる、ファン・チャンの娘とその友人をモデルにしたという白い衣の娘たちは、水の底で戯れながら永遠の時を過ごす怪魔と乙女なのかもしれません。
 美術には厳しいベトナムの気候と社会条件をおして修復・保存に努められ、その魅力を伝えるべく複製美術(ポスター)にまで込められたその御心は、未来のベトナムを照らすことでしょう。限定百部の貴重なポスターを駒場美術博物館へ寄贈くださいましたことも、記して御礼を申し上げます。

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以上、計8点。

(〔3〕に続く)

(2017年7月22日 文責:松枝佳奈)

CatalTo 2016 開催〔3〕

日時:2017年6月2日(金)14:00-17:00
場所:駒場博物館セミナー室
出席者:CatalTo(展覧会図録品評勝手連TOKYO)メンバー計18名
メンバー=教員2名(学内)、大学院生およびOBOG 16名(学内外)

活動報告:(〔2〕の続き)

以下の13点の展覧会カタログは受賞には至りませんでしたが、メンバーから受賞候補として挙げられました(順不同)。

・『オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展』(国立新美術館、2016年4月27日--8月22日)
・『パロディ、二重の声 日本の一九七〇年代前後左右』(東京ステーションギャラリー、2017年2月18日--4月16日)
・『没後100年 宮川香山』(サントリー美術館、2016年2月24日--4月17日。2016年4月から11月まで他二館に全国巡回)
・『大妖怪展 土偶から妖怪ウォッチまで』(江戸東京博物館、2016年7月5日--8月28日。2016年9月10日--11月6日にあべのハルカス美術館に巡回)
・『世界遺産 ラスコー展』(国立科学博物館、2016年11月1日--2017年2月19日)
・『クリスチャン・ボルタンスキー アニミタス さざめく亡霊たち』(東京都庭園美術館、2016年9月22日--12月25日)
・『トーマス・ルフ展』(東京国立近代美術館、2016年8月30日--11月13日)
・『木々との対話 再生をめぐる5つの風景』(東京都美術館、2016年7月26日--10月2日)
・『知られざる日本写真開拓史』(東京都写真美術館、2017年3月7日--5月7日)
・『フランスの風景 樹をめぐる物語』(東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館、2016年4月16日--6月26日)
・『ナムジュン・パイク展 没後10年 2020年笑っているのは誰?+?=??』(ワタリウム美術館、2016年7月17日--10月10日)
・『見世物大博覧会』(国立民族学博物館、2016年9月8日--11月9日。2017年1月17日--3月20日に国立歴史民俗博物館に巡回)
・『ピエール・アレシンスキー展』(Bunkamura ザ・ミュージアム、2016年10月19日--12月8日。2017年1月28日--4月16日に国立国際美術館に巡回)

 なお、今後のCatalToでは、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として全国各地で実施されている「オリンピック文化プログラム」の動向にも注目する予定です。特に東京およびその近郊で開催され、「beyond2020プログラム」、「公認文化オリンピアード」、「応援文化オリンピアード」、「東京2020参画プログラム」等に参加する企画展や文化イベント等のカタログが、CatalToの新たな選考対象となることが予想されます。

 これまで全国の美術館・博物館等の展覧会カタログの収集、所蔵を続けてきた駒場博物館資料室の開室10周年およびCatalTo 2016の開催を記念し、以下の式典ならびに記念パーティーが開催されました。

2017年7月21日(金)
16時〜17時 駒場博物館資料室開室10周年記念式典
(於:東京大学教養学部駒場キャンパス駒場博物館)
17時15分〜19時30分 駒場博物館資料室開室10周年およびCatalTo 2016 記念パーティー(於:東京大学教養学部駒場キャンパス18号館4階オープンスペース)

 各会場で上記8点の受賞カタログおよびポスターが披露されたほか、記念パーティーでは受賞カタログ制作に関わられた担当学芸員およびデザイナーの方々をお招きし、展覧会開催ならびにカタログ制作の現場に関する大変貴重なお話を伺いました。

 また来年春には駒場博物館常設展の一隅において、資料室活動のご紹介の一環として、受賞カタログ、ポスター等が展覧される予定となっています。

(2017年7月22日 文責:松枝佳奈)

2017年7月29日

駒場博物館資料室開室10周年記念式典・パーティー開催

日時:2017年7月21日(金)16:00-19:30
場所:東京大学教養学部駒場キャンパス 駒場博物館ホールおよび18号館4階オープンスペース
出席者:学内外関係者数十名
活動報告:これまで全国の美術館・博物館等の展覧会カタログの収集、所蔵を続けてきた駒場博物館資料室の開室10周年およびCatalTo 2016の開催を記念し、以下の式典ならびに記念パーティーが開催されました。

2017年7月21日(金)
16時〜17時 駒場博物館資料室開室10周年記念式典
(於:東京大学教養学部駒場キャンパス駒場博物館ホール)
17時15分〜19時30分 駒場博物館資料室開室10周年およびCatalTo 2016 記念パーティー(於:東京大学教養学部駒場キャンパス18号館4階オープンスペース)

 記念式典では、石田淳教養学部長をはじめ駒場図書館、駒場博物館関係者の御挨拶を頂き、「密度の高いカタログ専門図書室」として今後も活動していくことが改めて確認されました。
 各会場では上記8点の受賞カタログおよびポスターが披露されたほか、記念パーティーではCatalTo2016授賞式および、受賞カタログ制作に関わられた担当学芸員およびデザイナーの方々から、展覧会開催ならびにカタログ制作の現場に関する大変貴重なお話を伺うなど、盛会のうちに終了いたしました。
(2017年7月29日 文責:松枝佳奈)

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