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2015年6月 アーカイブ

2015年6月13日

[おすすめ]「幻燈展――プロジェクション・メディアの考古学」



・会期:2015年4月1日(水)~8月2日(日)
・会場:早稲田大学演劇博物館
・評者:伊藤 由紀

幻燈。明治・大正の文学作品でたびたび目にはするものの、どういうものだかいまいちピンと来ていなかったので、良い機会だと思って見に行きました。投影のための各種装置と、演博の膨大なスライド・コレクションのほか、幻燈にまつわるさまざまな錦絵が(寄席や学校での投影風景を描いたものはもちろん、たとえば、人物の内心を頭の近くの円の中に描くという手法をとった一連の作品についても、幻燈が発想源であるとして)展示されています。

幻燈機のピント位置合わせとスライドの入れ替えを来場者が体験できる箇所があり、投影される図像のはかなさ(ありていに言えば「見づらさ」)がよくわかりました。

その一方でスライドの展示は、ただでさえ1つ1つが小さい上に、全体的に高い位置に置かれていて、わたしの身長だと正直、まじまじ見るのは厳しかったです。スライドに取り上げられたテーマは多岐にわたり、名所旧跡、日清・日露戦争、世界の風俗、人物肖像、滑稽画、歌舞伎、シェークスピア劇などさまざま。非常に興味深いだけに、展示の見づらさがもどかしかったです。描かれた事物についても、もう少し解説があるとありがたいと思いました。

幸い、本展覧会の図録は青弓社からISBNつきの一般書籍として販売されていて(『幻燈スライドの博物誌 プロジェクション・メディアの考古学』)、こちらには個々のスライドが、解説つきで見やすく収録されています。幻燈機のハード面や、幻燈の視聴体験について知るには会場の展示、その幻燈によって当時流布された図像を見るには図録、という使い分けが必要かもしれません。出版元の青弓社をはじめ、各オンライン書店でも取り扱いはありますが、会場では消費税ぶんお得に購入できるようです。

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