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[寸評]赤瀬川原平の芸術原論展



・会期:2014年10月28日(火)~12月23日(火・祝)
・会場:千葉市美術館
・評者:高原 智史

いよいよ寒さもいや増してきた12月6日の土曜日に、2014年度第1回の見学会が千葉で行われました。

お目当ての展覧会は赤瀬川原平の芸術原論展。千葉市美術館にて。

昔から「芸術」方面はてんでダメな筆者でございまして、赤瀬川という人もろくに知りませんで。しかし以前、『目玉の学校』(ちくまプリマ―新書)という本を読んだことがあり、「あれたしか赤瀬川って人だったな」と書棚から持ち出し、行きの電車で前に線を引いたところを読み返しておりました。今回、会場が千葉ということで、参加者の皆々様におかれましては「遠路はるばる」という感じだったようですが、筆者は千葉の一歩手前の江戸川区に住んでおりますので、千葉駅まではわずか27分。『目玉の学校』の読み返しも終わらないうちに千葉に着いてしまいました。

筆者も含め、千葉駅には初めて来たという人がほとんどの中、まずは駅内の落ち着いた喫茶店でカタログ委員会のミーティングをし、あわただしい昼食の後、ご同行いただいた寺田寅彦先生のご招待でモノレールに3分だけ乗って、美術館の最寄駅へ。もう少し歩いて、美術館は区役所といっしょの建物の7階と8階。

13時半に8階の展示室入口のところでいったん解散となり、16時に1階に集合と。2時間半もどう時間をつぶそうかと最初は思っていました。(筆者だけでなく、みなさんそうお考えになったそうです。)

いざ展示室に入ってみると、はじめは絵の展示から。てんで分からない。
くり返しになりますが、「芸術」方面はてんでダメな筆者、2時間半もどう時間をつぶそうか・・・という思いを強くしました。

続いてネオ・ダダと読売アンデパンダンのコーナーへ。
ゴムチューブでつくられた《ヴァギナのシーツ》というのが有名だそう。しかしやっぱりサッパリ分からない。思ってたよりデカイなー、くらい。異常な存在感。

ハイレッド・センターのコーナーへ行って、椅子や扇風機がクラフト紙で梱包され、これまたクラフト紙の敷物の上に置かれた《不在の部屋》。この作品の年代は(1964/1994年)となっていて、椅子などに付けられた荷札に上書きされた跡があり、作品の「更新」というようなものが感じられました。この辺から「芸術」はてんでダメな筆者でも「分かる」ような気がしてきました。

続いて「千円札裁判」のコーナー。
筆者は法学部出でございまして、刑法の授業で「百円札模造事件」というのは教わっていたのですが(違法性の意識(の可能性)というところで出てきます)、寡聞にして「千円札裁判」というのはここで初めて知りました。
すでに読売アンデパンダンのコーナーに《復讐の形態学(殺す前に相手をよく見る)》というタイトルの、やたらデカイ(90cm×180cm)聖徳太子の千円札の模写が展示されていましたが、ここでは押収された「作品」の他に起訴状や判決書などなど、一連の裁判に関する物件がズラーっと展示されていました。
もはや「芸術」そっちのけで、「法的」な興味から判決書を眺めて、「これは展示の仕方が悪いな。一頁目を上にして置いてあるけど、被告人の住所とかしか書いてない。みんなが見たいのはやっぱり「主文 被告人を○○に処す」みたいなところでしょ。そこを開いて見せなきゃー。」などと考えていると、隣で見ていた人が「へー、これ本物なのかな?」と言っておられて、裁判すらパロディでやっていたと思わせる赤瀬川原平さすが、と思わされました。
裁判では、「前衛芸術」について説明するためハイレッド・センターの作品等が法廷で陳列されたそうで、「一瞬ながら前衛芸術が法廷を占拠した」というような記述が大変興味深かったです。

階を下りるとすぐのところで、以前NHKで放送されたらしい赤瀬川氏のインタビューが放映されていました。休憩がてら椅子に腰かけて観ていると、「僕らは芸術のためにスレスレのことをよくやった。犯罪、いや犯罪とまではいかないけれど...」という風に言葉を濁されていて、千円札裁判の展示のすぐ後で見たので、そこに興味を引かれました。

続いてパロディを主としたイラスト、漫画のコーナー。
相変わらず絵はてんでダメな筆者、絵柄については水木しげるとの区別もつきませんでしたが《企業はこうして人を破壊する:水俣病》《わたしは問い続ける―大学批判の原点を求めて》といった内容は「政治的」に大変興味深く、展示されている漫画は全部読んで回ったので、ずいぶん時間を取られました。
我らが東京大学の安田講堂(とそれに拠るヘルメットの人々)もパロディの対象にされており、見ている横でおじさま方が「あの時、何年生だったっけ?」「いやまだ俺は高校生」などとお話しされていました。

尾辻克彦として受賞した直木賞受賞作の展示等を挟んで、「トマソン」や「路上観察」のコーナー。
この辺までくると、「まだあんの!?時間大丈夫かな...」という気分に。
「トマソン」といえば、「不動産に付属し、まるで展示するかのように美しく保存されている無用の長物」(ということをそこで初めて知りました)、上がった先に何もない「純粋階段」が有名なようですが、筆者もそういうムダなものは大好き。「こういうのって『VOW』(宝島社)によく載ってたよねー」と、後の懇親会で『VOW』を広げられていた方も。

その後も「ライカ同盟」とか「縄文建築団」とか、まだまだいろいろあったのですが、最初もてあますように思っていた2時間半の時間があっという間に過ぎていて、最後の方はじっくり見られず、駆け抜ける羽目に・・・。(みなさんそうだったそうです。)集合を16時半にしておくべきだったかと見学会幹事として反省。

16時ちょいには1階に集合が完了し、懇親会の予約は17時からだったので、違った形で時間をもてあますことに。お店に電話してみると、早くからでも大丈夫とのことだったので、駅前のおしゃれなビストロで16時半から懇親会。異常に早いピッチで飲み進めた筆者は終盤眠りこけておりました。
そうして18時半には早くも散会。19時過ぎには家についてしまった筆者はいよいよ本格的に眠りこけましたとさ。


見学会レポを書くのが遅れに遅れ、会期は明日までとなってしまいましたが、千葉まで遠出する価値の十分ある、見応え十分な展覧会でした。


次回の見学会は来年3月開催の予定です。
みなさまどうぞ奮ってご参加ください。


※赤瀬川原平については、昨年度第2回の見学会でも「「ハイレッド・センター」直接行動の軌跡展」の見学が行われています。
その模様はこちら


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