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[おすすめ]印象派を超えて 点描の画家たち



・会期:2013年10月4日(金)~12月23日(月)
・会場:国立新美術館
・評者:辛 重官

(※巡回予定
【広島展】2014年1月2日(木)~2月16日(日) 広島県立美術館
【愛知展】2014年2月25日(火)~4月6日(日) 愛知県美術館)

 子供の頃はコンピューター好きの少年だった。パソコンの黎明(スティーブ・ジョブズが車庫から這い出したばかりの頃)から今まで、どれほどの性能向上があったかについて、私は実体験のレ─ベルで話ができる。とにかく昔はひどかった。絵の話をすると、パソコンには16色、あるいは256色という物理的な限界があった。たかが16色でリアル・ワールドの色彩すべてを表現したいというなら、その答えは「点描」しかない。赤の間に白を入れてピンクを作り出すのだ。実際そのピンクは、ピンクというより赤と白の配列にしかみえなかったけど、小学生の私はそんなでたらめな点描で描かれた宇宙船やドラゴンなどをみて熱狂したのだった。
 国立新美術館で「印象派を超えて 点描の画家たち」展をみながら、その頃を思いだした。19世紀の印象派画家たちはパレットで絵の具を混ぜると絵の明度が落ちることに気付き、純色を点描する方法で絵を描き始める。彼等には描写の厳密性より臨場感、あるいは光の鮮やかさをキャンバスにうつすのが大事であったからである。しかし、彼等の絵を直接みながら感じたのは、光の鮮明さよりも情熱だった。私はここで何か大切なことをやっている。絵はただの技術ではなく、個性の表現であるべきだという叫び、まるで子供のようなイノセンスが感じられる。
 「印象派を超えて 点描の画家たち」展は点描の画家たちを時代順で配置し、技法がどのように発展していたのか、一目でわかるようになっている。
私みたいな素人にはとても有り難い企画だった。
 しかし「印象派を超えて 点描の画家たち」はやや曖昧なタイトルではないか。「印象派=点描」という間違った情報を観覧客に与える危険性があったと思う。確かにゴッホは人気者だが、彼だけを強調しすぎると、ゴッホの絵がすべて点描だという誤解を招く可能性もある。
 カタログは見事に仕上げられている。すべての出品作に詳細な説明が加えられており、19世紀の点描画についての入門書として価値が高い。しかも表紙は2種類(ゴッホとスーラ)のどちらかを選択できるようにしている。多くの客がカタログを購入していた。
 音声ガイドは坂本真綾。私は、ラジオ「ビタミンM」の時から彼女のファンなので人選に文句はないが、アナウンサーのような口調にはすこし不満。彼女は元々の声が天使なので、普段通りにしたほうがよかったと思う。


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