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[寸評]モローとルオー -聖なるものの継承と変容-

・会期:2013年9月7日~2013年12月10日
・会場:パナソニック汐留ミュージアム
・評者:山川 剛人

 去る12月1日(日)、カタログ委員会メンバーは第一回見学会として、パナソニック汐留ミュージアムへ足を運びました。「モローとルオー展」は、それぞれフランスの19世紀、20世紀を代表する画家であり、深い絆に結ばれた師弟でもあったモローとルオー二人の絵画を、ギュスターヴ・モロー美術館館長の監修により、パリに先駆け汐留で展示するという大変意欲的な展覧会です。
 展示は、国立美術学校時代の作品を配した「ギュスターヴ・モローのアトリエ」、デッサンの重要課題である裸体画を配した「裸体表現」、宗教画・神話画を配した「聖なる表現」、色彩と材質についてのモローの教えに関わる作品を配した「マティエールと色彩」、特別セクションとしてモロー美術館を紹介した「幻想と夢」という五つのセクションによって構成されています。全体を通じて、セクションごとにあるテーマを設定することで、観覧者が二人の画家における問題意識や表現の共通性や差異を感じ取ることのできるようにという配慮がなされているように思われました。
 また、公式サイトのトップで写真を見ることができますが、壁や柱のカラーリングが非常に鮮やかで、それも部屋ごとに違った色を用いているなど非常に凝った内装により、二人の作品の世界に相通ずる雰囲気を鑑賞の場として演出しています。更に展示の工夫として、途中、モローとルオーの往復書簡における睦まじい師弟のやりとりが紹介されていたのも面白く、近しい関係性の中でそれぞれに絵画表現の高みを目指していた彼らの「同時代性」のようなものを感じることができました。
 個人的に、二人の対比が大変面白く感じられたのは、中盤の「聖なる表現」、「マティエールと色彩」の2セクションでした。二人とも、聖書やギリシャ神話、古代ローマの故事などを題材に色彩豊かで幻想的な絵を遺していますが、その思想や感受性はそれぞれ独特のもので、かなり違いがあるように思われます。たとえばモローの「油彩下絵または聖女カエキリア」とルオーの「クマエの巫女」、モローの「ゴルゴタの丘のマグダラのマリア」とルオーの「三本の十字架」、モローの「パルクと死の天使」とルオーの「我らがジャンヌ」(この二作品は公式サイトで画像を見ることができます)など、共通性のみられるモチーフを描いた絵を同時に鑑賞することで、その相違が浮き彫りになるような展示になっていたのではないかと感じます。モローが「聖なるもの」を崇高なものと捉えて重厚な色彩で表現したのに対して、ルオーはより素朴な見え方をするものの中に「聖なるもの」を見出し(例えば「聖顔」など)、奔放な色遣いで表現したという印象を持ちました。
 展覧会は、このあと長野県の松本市美術館へ巡回し、12月20日(金)から3月23日(日)まで観ることができます。
 なお余談ですが、汐留はすっかりクリスマス・モードで、パナソニック汐留ミュージアムのお隣のショッピング街(カレッタ汐留)ではダンスミュージックに合わせた盛大なイルミネーションを観ることができ、たまたま居合わせた参加者一同は驚きつつ足を留めてしまいました。



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