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[寸評]生誕100年 松本竣介展

・会期:2012年11月23日〜2013年1月14日
・会場:世田谷美術館
・評者:太田 直樹

去る1月12日(土)、カタログ委員会企画、第二回展覧会見学会にて、「生誕100年 松本竣介展」に訪れた。画家の知名度に加え、会期の最後の連休であったことから、展覧会は非常に盛況を博しており、各作品の前に人だかりができるほどに賑わっていた。
この生誕100周年記念である本展では、油彩・約120点、素描・約120展、書簡等資料・約180点を、世田谷美術館の一階二階のスペース全てを用いて展示しており、対象の画家自体の規模の大きさが示唆されている。また、その展示構成も、時系列に加え、人物、風景といった作品テーマごとにも区分されており、竣介の作品群の多彩さを一目で感じさせる構成となっている。
さて、作品を一つ取り上げるならば、やはりこの展覧会のテーマともなっている《立てる像》であろう。本展では、この作品に向かって左側に《画家の像》、右側に《三人》及び《五人》と、時期が近く類似したテーマの作品が一望できるようになっている。特に、《画家の像》と《立てる像》とは、一見すると非常に類似した作品のように思われるが、ここに大きな転回があるように感じられる。
《画家の像》では、小さな人々や都市、戦争前夜を意識させる赤褐色の不穏な空気を背景に、それらを受け止めるかのように、大きな男が肩を張って立っている。その表情はやや堅く、少し厳しさのようなものを感じさせる。それに対し、《立てる像》では、人々や建造物が小さく描かれている点は同じであるが、それらは、はるかに広大な空に圧倒されている。そして、無限に広がる空、あるいは無限に続く道の真ん中に、大きな男は肩を下ろし、自然体で立っている。その表情は決して呆然を意味するものではなく、広がる世界、可能性を見据え、切り開いていこうとする強い眼差しを感じさせる。戦時中という厳しい状況において、あるいは厳しい状況であったからこそ、それ以上に広がる可能性に向かって行く姿勢、それこそが、36歳で夭折しながらも、文芸活動も含め多岐にわたる豊かな作品群を残すことに繋がったのだと、《立てる像》を目の前にして思われた。
前述のように、今回の展覧会は、個人ではなく見学会という企画の形で参加させていただいた。そのため、展覧会を観終わった直後に、友人あるいは先輩方と話させていただくことができ、展覧会の印象が深められたと同時に、美術は門外漢である私にとっては非常に学ぶことの多い見学会であった。このような機会があれば、今後とも参加していきたい。


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