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[寸評]「ぬぐ絵画 日本のヌード1880-1945」

・会期:2011年11月15日(火)〜2012年1月15日(日)
・会場:東京国立近代美術館
・評者:伊藤 由紀

明治・大正・昭和(戦前)の、主に女性のヌードを描いた油彩画約100点を通じて、裸体画が近代日本においてどのように理解され展開したかをたどる展示です。

会場では、ほとんどの出品作品に詳しい解説が付され、その物語に沿って作品を見ていく趣です。解説はちょっと独特の、人なつこく饒舌な語り口で(「古賀春江(ちなみに男性です)」といった調子)、それでいて随所に鋭い指摘があり、たいへん納得させられました。

変則的な二つ折りのチラシや特設サイトなど、ビジュアル面に力を入れている印象の本展、カタログは鮮やかなオレンジ色に12×21cmという小ぶりの版型で、これまた目を引きます。

このカタログも、展覧会と同様、蔵屋美香氏による一編の長大な論文の流れに沿って、豊富な図版が挿入される形です。会場の解説が「です・ます調」なのに対し、こちらの論文は「だ・である調」。基本的に、偶数ページ(左)は本文と参考図版、奇数ページが出品作品の図版という構成になっています。論文と割り切ってしまえば良いのですが、展覧会カタログとして見てしまうといかんせん図版が小さい。黒田清輝《智・感・情》(cat.no.23)など、画面を90度回転させて三幅対を1ページに収めているので、あの作品の独特の迫力が感じられません。

上記に限らず、横長の作品の多くは画面を90度倒して掲載されています。しかし垂直/水平というのは、本展の重要な着眼点の1つだったように思います。コランら西洋の画家のヌードの多くが女性を画面に水平に横たえたのに対し、黒田清輝《野辺》(cat.no.29)は画面に対し垂直に寝かせていること、それが萬鉄五郎《裸体美人》(cat.no.40)でどう展開したか、梅原龍三郎《はふ女》(cat.no.54)で、再び画面に水平に描かれた女性が生々しく感じられる理由、前田寛治や小出楢重が、横たわる裸婦を描く際に垂直線の「つっかえ棒」を入れたこと......。それゆえ、カタログの紙面で一部作品が90度回転させられ、垂直/水平の対比が一目では把握しづらくなっているのは、非常に残念に思います。

カタログへの採点が辛くなってしまいましたが、それも展覧会の本編にたいへん興奮したからこそ、です。残りの会期は少ないですが、ぜひ会場でどうぞ。ちなみに1月2日は「新年につき、一肌脱」いだ割引価格(大学生250円)で入場できるそうです。所蔵作品展部分にも関連展示あり。


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