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2011年12月 アーカイブ

2011年12月13日

2010年度委員会活動報告書(2010年10月~2011年9月)

・メンバー:
[2010年度委員](敬称略)
・井口俊(委員長)、李ヒョンジュン(副委員長)、堀江秀史(同左)、伊藤由紀、林久美子、
任ダハム、岩瀬慧、川澄亜岐子、申ミンジョン、刀根直樹、藤田千紘、古舘遼、本間友佳、
松枝佳奈、山崎はずむ

・駒場美術博物館資料室担当:川野惠子、安永麻理絵
・相談係:永井久美子、信岡朝子、手島崇裕、佐々木悠介、安藤智子
・今橋先生研究室アシスタント:坂田亜希子


・会議月日・活動報告:
[活動報告]
2010年
10月4日:新年度引き継ぎ会
 1.新委員の役割分担(「ブログ利用」「見学会企画」の役割を新設)
 2.「全国企画展調査」「院生専門調査」「HP・ML管理」前年度委員からの引継ぎ事項の確認
 3.新年度委員会の活動目標設定
 4.委員会メーリングリストの更新

10月10日:東大比較文学会総会にて前年度委員会の活動および、新年度委員会の発足を報告。

11月2日:第1回 委員会ミーティング
 1.新委員による引継ぎ報告
 2.「展覧会寸評」欄の活性化に向け投稿時のフォーマット作成に関する意見交換
 3.『比較文學研究』に推薦する評者、展覧会候補の検討
 → 世田谷美術館『橋本平八と北園克衛』展、渋谷区立松濤美術館『大正イマジュリィの世界』展、東京都写真美術館『日本の新進作家展vol.9[かがやきの瞬間]ニュー・スナップショット』展などが候補に挙がり、『橋本平八と北園克衛』展を委員会で見学し、『大正イマジュリィの世界』展、『ニュー・スナップショット』展には委員が下見に行くことを決定。

11月:企画展調査の際に用いるエクセル表の刷新、委員会専用メールアドレスの取得に関してメールでやり取りを行う。
 →データの集計作業の簡便化を可能にするエクセル表の作成。HP上に企画展情報が掲載されていない美術館、文学館に問い合わせるための共有メールアドレスを取得する。

12月12日:展覧会見学(於世田谷美術館)
 1.『橋本平八と北園克衛』展を委員有志で見学。見学の前には本展担当学芸員である世田谷美術館の
野田尚稔氏より、展覧会、展覧会カタログの内容解説をしていただいた。
 2.『比較文學研究』へ推薦する展覧会を『橋本平八と北園克衛』展、評者を博士課程水野太朗氏に決定。

2011年1月-3月:駒場美術博物館担当者へ新所蔵資料のリクエストを提出。4月に行われる新入生オリエンテーションにおいて行う予定の、美術博物館見学会の打ち合わせをする。


3月:東日本大震災により被害にあった文化施設、文化財の状況、今後の対応等を今年度から追跡調査することを決定。それに伴い、「震災影響調査」を行うための新たなエクセル表を作成するべく打ち合わせを行う。

4月17日:比較文学比較文化専攻 新入生オリエンテーション
 → オリエンテーション内で委員会の説明、懇親会では新入生の勧誘を行う。本来は、オリエンテーションの2日目に新入生と共に駒場美術博物館および、カタログ資料室の見学を行う予定であったが、震災によりオリエンテーションの日程が変更となったため中止となった。

4月25日:第2回 委員会ミーティング
 1.新年度「全国企画展調査」に向け、担当委員から新エクセル表の説明、調査日程の確認
 2.「震災影響調査」を開始することを正式に決定
 → 被害状況および、休館情報、企画展の延期・中止などの情報を収集し、リスト化してゆく。本年度だけの調査ではなく次年度以降も継続的に調査を行い、しかるべき時期に発表を行う場を設ける。

4月26日-5月8日:「全国企画展調査」「震災影響調査」エクセル表を各委員に配布し、作業開始。

5月12日:駒場美術博物館との打ち合わせ
 →本年度から新たに用いた2種の調査表をどのようにカタログの収集等に利用してゆくか意見交換。集計が済んだ調査表の最終チェックは美術博物館担当者が行うことを確認する。

5月25日:企画展調査表の完成版を委員会メーリングリストにて配布
6月6日:院生専門分野アンケートを比較院生メーリングリストにて依頼
7月17日:専門分野アンケートの完成版を比較院生メーリングリストにて配布

7月5日:次年度引継ぎに向け、現委員長、新委員長による第1回ミーティング
9月5日:委員長による第2回ミーティング
9月13日:相談係の永井久美子氏、信岡朝子氏、本年度で任期満了の旨、お伝えする。

10月4日:新年度引継ぎ会

2011年12月17日

[おすすめ]セガンチーニ展および常設展

・会期:11月23日〜12月27日
・会場:損保ジャパン東郷青児美術館
・評者:今橋 映子

 今年春の震災で、一度は東京巡回が延期となった展覧会、危ぶまれましたが、東京展が実現しました。スイスアルプスの風景画家として知られるセガンチーニを、これだけまとまって日本で見られるのは実に30年ぶり。また30年は来日しないかもしれませんね。
 私のようにスイスのサン・モリッツにまで行けない方は、ぜひこの機会にいらしてください。
 
 今回の東京展で感じが良いのは、「ガラスケース」越しでなく、この画家の仕事が見られるということ! 筆触分割の緻密なまでの職人仕事をじっくり観察することができ、かつ、その画面から遠く離れて全体を見渡せば、驚くほど透き通った青空とアルプスの風景を堪能できます。そして最後にはこの画家が、実は、単なるアルプスの画家でなく、瞑想する象徴詩人であることに納得させられます。

 ついでといったら余りに酷いですが、企画展の最後の部屋の隣は常設展部屋。あの53億円落札のゴッホ「向日葵」が、展示されています。グッズ売り場に急ぐ方たちが多いせいか、これも独り占めで堪能できますので、久々の方もどうぞ。様々な黄色を同一画面で遣い分ける「向日葵」連作の中で、この絵はとりわけ、背景に緑色が差してあることに、私は今回改めて気付いた次第です。
 余談ですが一方で、同じ常設展部屋にある(この美術館にとっては)肝心の、東郷青児の油絵の退色が、相当進んでいることに、ちょっと心が痛みました。かつて子どもの頃にみた、陶器のような透明な輝きが、あの画面に戻る日を願うばかりです。

2011年12月21日

[おすすめ]殿様も犬も旅した 広重・東海道五拾三次 保永堂版・隷書版を中心に

・会期:2011年12月17日〜2012年1月15日
・会場:サントリー美術館
・評者:林 久美子

 投稿が遅くなってしまいましたが、サントリー美術館、広重展の内覧会に行ってきました。
 本展では、歌川広重の代表作《東海道五拾三次之内》(天保4(1833)年頃制作、一般に「保永堂版東海道」)と、およそ15~20年後に再び広重によって描かれた《東海道》(画中の題が隷書で書かれている「隷書版東海道」)が一挙に公開されています。

 江戸日本橋から京都までの55カ所、全ての宿場の「保永堂版」と「隷書版」が並べて展示され、両者の違いを如実に見て取ることができます。同じ場所でありながら、構図や色味、モチーフなどに様々な違いが見られ、広重の工夫の跡が伺えます。また、「保永堂版」と「隷書版」の比較に加えて、刊行当初の〈初摺〉と、後に摺り方などが変えられた〈後摺〉との比較や、〈初版図〉と、図柄が一部変えられた〈変わり図〉の比較が行われている宿場もありました。

 「保永堂版」の〈蒲原 夜之雪〉や〈庄野 白雨〉などは、誰もが一度は目にしたことがある広重の代表作だと思いますが、今回の比較展示により、実は「隷書版」の方が、実際の風景により即したものであったことを知り、驚きました。
 
所々に配された、名所をモチーフとした屏風や工芸品を除けば、ひたすら浮世絵の展示が続き、一見単調にも思える本展ですが、実際は江戸期の旅の様子が生き生きと描かれた作品に導かれて、私もまるで旅をしているような気持ちになりました。
 年末年始、旅行に行く余裕がないという方は、六本木で東海道旅行を楽しむというのはいかがでしょうか。

2011年12月28日

[寸評]「ぬぐ絵画 日本のヌード1880-1945」

・会期:2011年11月15日(火)〜2012年1月15日(日)
・会場:東京国立近代美術館
・評者:伊藤 由紀

明治・大正・昭和(戦前)の、主に女性のヌードを描いた油彩画約100点を通じて、裸体画が近代日本においてどのように理解され展開したかをたどる展示です。

会場では、ほとんどの出品作品に詳しい解説が付され、その物語に沿って作品を見ていく趣です。解説はちょっと独特の、人なつこく饒舌な語り口で(「古賀春江(ちなみに男性です)」といった調子)、それでいて随所に鋭い指摘があり、たいへん納得させられました。

変則的な二つ折りのチラシや特設サイトなど、ビジュアル面に力を入れている印象の本展、カタログは鮮やかなオレンジ色に12×21cmという小ぶりの版型で、これまた目を引きます。

このカタログも、展覧会と同様、蔵屋美香氏による一編の長大な論文の流れに沿って、豊富な図版が挿入される形です。会場の解説が「です・ます調」なのに対し、こちらの論文は「だ・である調」。基本的に、偶数ページ(左)は本文と参考図版、奇数ページが出品作品の図版という構成になっています。論文と割り切ってしまえば良いのですが、展覧会カタログとして見てしまうといかんせん図版が小さい。黒田清輝《智・感・情》(cat.no.23)など、画面を90度回転させて三幅対を1ページに収めているので、あの作品の独特の迫力が感じられません。

上記に限らず、横長の作品の多くは画面を90度倒して掲載されています。しかし垂直/水平というのは、本展の重要な着眼点の1つだったように思います。コランら西洋の画家のヌードの多くが女性を画面に水平に横たえたのに対し、黒田清輝《野辺》(cat.no.29)は画面に対し垂直に寝かせていること、それが萬鉄五郎《裸体美人》(cat.no.40)でどう展開したか、梅原龍三郎《はふ女》(cat.no.54)で、再び画面に水平に描かれた女性が生々しく感じられる理由、前田寛治や小出楢重が、横たわる裸婦を描く際に垂直線の「つっかえ棒」を入れたこと......。それゆえ、カタログの紙面で一部作品が90度回転させられ、垂直/水平の対比が一目では把握しづらくなっているのは、非常に残念に思います。

カタログへの採点が辛くなってしまいましたが、それも展覧会の本編にたいへん興奮したからこそ、です。残りの会期は少ないですが、ぜひ会場でどうぞ。ちなみに1月2日は「新年につき、一肌脱」いだ割引価格(大学生250円)で入場できるそうです。所蔵作品展部分にも関連展示あり。

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