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2011年11月 アーカイブ

2011年11月 5日

[おすすめ]ヨコハマトリエンナーレ2011

・会期:2011年8月6日(土)~11月6日(日)
・会場:横浜美術館、日本郵船海岸通倉庫(Bank Art Studio NYK)、その他周辺地域
・評者:川辺 和将

もうすぐ閉幕です。今年は美術館内の展示が多数ありますが、照明を暗くするなどハコ感を出さない工夫がされていました。
クリスチャン・マークレーの《the Clock》は映画好きの方におすすめです。

2011年11月12日

[おすすめ]「高畠華宵の珠玉の名作挿絵」(コーナー展示)

・会期:2011年9月30日(金)〜12月25日(日)
・会場:弥生美術館
・評者:伊藤 由紀

企画展「中原淳一の少女雑誌 『ひまわり』」を見に行ったのですが、3階高畠華宵コーナーの、少年少女向けの冒険小説に付けられた挿絵を集めた展示も面白かったです。挿絵とともに紹介される物語のあらすじがどれも荒唐無稽で、スリルとサスペンスとエキゾチシズムとエロチシズムのてんこ盛り。ちょっと読んでみたくなりました。

たとえば『南蛮小僧』シリーズのひとつ、「死中の活」。褌一枚の主人公が格子状にきつく縛られ、頭上の大岩を吊るす縄に火を放たれて絶体絶命、という場面が、華宵の精緻な筆で描かれます。なぜそんな回りくどい方法で、というツッコミは、ここでは用をなしません。

調べてみると、今回取り上げられた小説のうち、有本芳水『馬賊の唄』と濱丘浪三『南蛮小僧』は、駒場図書館所蔵の『少年小説大系』(三一書房、1986〜96年)の14巻・19巻にそれぞれ収録されているようです(挿絵なし)。

2011年11月13日

[おすすめ]生誕120周年記念 岸田劉生展

・会期:2011/09/27-11/23
・会場:大阪市立美術館
・評者:中村 真衣子

 近代洋画家の中でもとりわけ異彩を放つ岸田劉生。その生誕120周年を記念する展覧会が、大阪市立近代美術館で開催されています。
 大々的にポスターを飾る代表作《麗子像》(1921年)に関連する作品だけでも油彩画、水彩画、水墨画を含め20点以上が展示されており、作品点数・質ともに見応えのある大回顧展となっています。展示室にずらりと並ぶ麗子像、「岸田の首狩り」とも称された数多の肖像画、自画像の数々からは、対象をただ「見つめる」ことによって滲み出る劉生の息遣い、熱気さえ伝わってくるようでした。また西欧の様式を積極的に取り入れた静物画や風景画などからは、ひたすらに筆を走らせ様式を模索する画家の姿を垣間見ることができます。
 早逝の画家・岸田劉生の凝縮された人生と、表現に対する執念をじわりと感じられる展覧会。この機会にご覧ください。

2011年11月15日

[おすすめ]「世紀末、美のかたち」展

・会期:平成23年9月17日(土)〜11月23日(水祝)
・会場:府中市美術館
・評者:伊藤 由紀

ミュシャのポスター、ラリックやガレのガラス工芸、ルドンやゴーギャンの絵画など全80点を、「自然とかたち」「文字を刻む」「異形の美」「光と闇」の4つのテーマで編成した展示です。

一部の濃色のガラス作品では、背面に細い鏡を置いて光源としており、これが劇的な効果をあげていました。斜めの位置からでは作品はほとんど不透明に見えるのですが、真正面に立ったときだけ、背面からの光が透けて、鮮やかな彩色や細部の意匠があらわになります。

これを体験した後では、カタログの写真にどうしても物足りなさを感じてしまいます。ぜひ会場でお楽しみください。駅からの道のりも街路樹が色づいて綺麗でした。

2011年11月16日

[美博]新着資料のお知らせ

駒場美術博物館資料室より、新着資料のお知らせです。

[新着購入資料]
横尾忠則展(岡山県立美術館、2011)
菊畑茂久馬(長崎県美術館、福岡市美術館、2011)

[新着寄贈資料]

印象とアンフォルメル 具体 墨象(堂本印象美術館、2011)
マルチ・アーティスト 堂本印象(堂本印象美術館、2011)
長岡和慶の世界(インデックス、2011)

ベルリン東洋美術館名品展(東京都庭園美術館、1992)
エルミタージュ美術館展ー17世紀オランダ・フランドル絵画(東武美術館、1992)
メトロポリタン美術館名品展ーフランス美術500年(横浜美術館、1989)
ボイマンス美術館展(高崎シティギャラリー、1999)
ルーマニア国立美術館・ブルケンタール国立博物館所蔵 16−18世紀ヨーロッパ絵画展(平塚市美術館、1995)
デトロイト美術館所蔵 ヨーロッパ近代美術とアメリカ現代美術(豊田市美術館、1995)
フィラデルフィア美術館展(山梨県立近代美術館、1992)
パリ・オランジュリー美術館(Bunkamura ザ・ミュージアム、1998)
プーシキン美術館所蔵イタリア・バロック絵画展(東京都庭園美術館、1997)
フォルクヴァング美術館(岡山県立美術館、1996)
ハンガリー国立ブダペスト美術館所蔵 ヨーロッパ風景画の流れ(三越美術館、1992)

以上

2011年11月20日

[寸評] 「松岡映丘―日本の雅 やまと絵復興のトップランナー」展

・会期:2011/10/9-11/23
・会場:練馬区立美術館
・評者:佐藤 弥生

 2011年に生誕130周年を迎える日本画家、松岡映丘。その30年ぶりとなる大規模な回顧展が練馬区立美術館で11月23日まで開かれている。兄に民俗学者の柳田國男を持つ映丘は、古典文学に取材したやまと絵を多く描いた。日本史の教科書などで一度は見たことがあるであろう≪右大臣頼朝≫も、彼の筆によるものである。

 筆者が見たなかで、特に印象深かったのは≪道成寺≫(1917年)だ。歌舞伎や浄瑠璃でもおなじみの道成寺から題材をとった六曲一双の屏風絵で、僧安珍(ここでは浄瑠璃版道成寺に基づき桜木親王の姿をとっている)と清姫が満開の桜の下出会う瞬間を描いている。いわば古典といえる主題にもかかわらず、この作品を斬新なものにしているのはその入り組んだ構図だろう。大きく枝をのばす桜の樹、鐘つき堂の柱が人物群の間をぬうように描かれ、また人物像の視線はみな微妙に異なり、ジグザグ状に交差する。見る者の視線も、こうした複雑に錯綜する構図を目で追ううち自然と蛇行してゆくかのようだ。加えて、六曲一双屏風の蛇腹状の構造も相まり、絵の構図はまるで右隻の若く美しい娘の成れの果てを暗示するかのように蛇のようにうねうねとまがりくねる。

 こうした映丘の入念に計算された構図は、1930年代を境に、それ以前の抒情的だがぎっしりと描き込まれたものから、より余白をたっぷりと取る伝統的日本画のそれへと近づいてゆく。後者の結実ともいえるのが、絶筆となった≪矢表≫(1937年)である。やはり六曲一双屏風の形式をとるこの作品はあえて余白を大きく残すことで、主人を守るため自ら飛び出し盾となる武士の一瞬の様子、その張りつめた空気までも感じさせる。


 残り会期期間もわずかだが、秋の深まりを感じられるこの季節、映丘のやまと絵で日本古来の美を味わってみてはいかがだろうか。

2011年11月23日

[寸評]田名網敬一「迷いの橋シリーズ」

・会期:2011年10月22日~12月11日
・会場:Nanzuka Underground(渋谷)
・評者:堀江 秀史

 渋谷は宮益坂、渋谷駅から行くと明治通りを渡って、宮益坂上まで登りきってブイ字型に右に曲がり、246号線(青山通り)沿いに少し坂を下りて右手にあるビルの地下、そのさらに奥、暗がりに気圧されることなく進むと突如として白く浮かび上がるのが、現代アーティストの紹介を行うギャラリー、Nanzuka Underground です。特に看板や案内が出ているわけではなく、まるで来る者の意思を試すかのように、辿りつくまでの道のりは険しいです(私は、半径30メートル以内まで近づきながら、場所が分からず30分くらいうろうろと迷ってしまいました)。潔いまでにストイックな佇まいのこのギャラリーで、現在、田名網敬一さん(1936~ )の最新シルクスクリーン作品、「迷いの橋」シリーズが展示されています(20点くらい)。

 蛍光色、ラメを使った過剰な色彩と、ときに織りまぜられるアトムやポパイの図柄、アメコミふうにアルファベットで描かれた爆発音の文字、強く虚ろな眼差しの少女などが、混沌とした構図に収められた、悪夢のような、幻覚のような作品群ですが、『朝日新聞』(11月9日夕刊)のレビューに記されているように、1960年代の「流行」であった「サイケデリック・アート」を、その後も一貫して追求してきたからこそ到達できた、単にかつての踏襲ではない、21世紀型の「サイケ」のかたちがそこにはあります。

 並行して、Nanzuka Underground(白金)のほうで行われていた「結び隔てる橋」は、残念ながら11月12日をもって終了してしまいましたが、こちらでは金色の赤ちゃん骸骨と、骸骨面をかぶったおさげのセーラー服女子生徒が赤い橋の真ん中に鎮座する大きなオブジェも見られました。

 粟津潔、横尾忠則らと比肩するデザイナー、美術家である田名網敬一氏の実作品が見られる良い機会です。
 迷ったらお電話下さい。 

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