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[寸評]「大倉喜七郎と邦楽―〝幻の竪笛〟オークラウロを中心に―」展

・会期:2011年8月2日(火)〜9月25日(日)
・会場:大倉集古館
・評者:伊藤 由紀

大倉財閥2代目・喜七郎が大正末に考案した、尺八にフルートのキーシステムを取り入れた新楽器「オークラウロ」に関する展示です。オークラウロの実物のほか、その演奏会プログラムや独習本、尺八改良に関する喜七郎の著述などが展示されています。

つい先日、従来の日本のオペラ受容史は伝統演劇の役割を軽視しすぎている、という主旨の口頭発表をしたばかりなのですが、わたし自身、日本の伝統演劇/音楽に関する知識はほとんどありません。自戒の念を込めて見に行きました。

この日は展示室内で小湊昭尚氏(尺八・オークラウロ)と保坂修平氏(キーボード・アレンジ)によるミニコンサートがあり、オークラウロの新旧の歌口と、さらに尺八、それぞれの音色を聞き比べることができました。小湊氏の奏者の立場からの解説が、わたしには知らないことばかりで面白かったです。

特になるほどと思ったのは、オークラウロ考案の頃から現在までに、尺八は機能面で相当改良されているという指摘。喜七郎の時代の尺八を基準に考えたら、オークラウロの画期性は相当大きかったはず、ということになるのですが、それなら当時の尺八も実際に演奏して見せていただけると良かったな、と思います。

展示には、当時の尺八の解説書や音譜も出ていたのですが、当時の尺八のどこが問題で、オークラウロによってそれがどう解消されたのか、展示を見ただけではよく分かりませんでした。尺八がその後どのように改良されたかについても説明があれば、オークラウロと比較できて面白かったと思います。一応、現代になって新しく尺八とフルートを組み合わせた楽器「シャクルート」は展示されていて、見た目のインパクトは抜群でした。

わたしの研究に関わる部分では、浅草オペラの台本作者だった伊庭孝が、ピアノ伴奏者として喜七郎の写真に写り込んでいるのに驚いたのですが、パネルの解説文によると、そもそも「オークラウロ」と命名したのも伊庭孝だったとか。この伊庭をはじめ、当時の邦楽/洋楽のプロフェッショナルたちが、オークラウロをどう評価し、どう関わったのかについても、説明が欲しかったと思います。

カタログはありません。出品リストは大倉集古館の公式ブログから入手できます。「美術に視る音色―描かれた楽器たち―」展と同時開催。


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