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[寸評]Les ballets russes 「バレエ・リュス」展

・会期:2009年11月24日〜2010年5月23日
・会場:Bibliothèque - musée de l'Opéra(フランス国立図書館オペラ座館)
・評者:林 久美子

昨年はバレエ・リュス初公演から数えて100周年ということで、世界各地で記念イヴェントが開催されたようですが、パリでも昨年12月にオペラ・ガルニエで、3月初めにはシャンゼリゼ劇場でバレエ・リュスの公演が行われました。バレエ公演の方も是非見に行きたかったのですが、やはり大変な人気のようで、気づいた時にはすでにどちらも完売という有様でした。ただオペラ座内では、5月23日まで「バレエ・リュス」展が開かれていますので、こちらの内容をお知らせします。

こちらは、バレエ・リュス100周年と、2010年がフランスーロシア交流年であることを記念して、フランス国立図書館所蔵資料を中心に100点ほどの作品を展示したものです。ダンサーや舞台背景を描いたデッサンや版画、ドビュッシーらの自筆楽譜、ダンサーの写真など、比較的小振りなものが多く展示されている中で、やはり人目をひいていたのは《シェエラザード》と《春の祭典》の衣裳です。10点ほど展示されていましたが、鮮やかな飾りが丁寧に縫い付けられている様子を間近に見ることができます。また、個人的に気に入ったのはニジンスキー自身によるデッサンです。展示されていたのは4点だけでしたが、彼が少しずつ狂気に冒され始めた頃に描かれたもので、ほとんど曲線のみで構成された、単純で素朴な感じのパステルの女性像が印象に残りました。

展示構成は「ディアギレフのパリデビュー(1907ー1909)」「ディアギレフとロシア人コラボレーター(1910ー1917)」「パラード(1917)」「国際的アヴァンギャルド(1917ー1929)」「ロシア人造形家の復帰」と5つに分けられ、バレエ・リュスの20年間の流れを一通り概観するものとなっていましたが、展示スペースが狭いためか構成が分かりにくく、時間的流れはあまり感じられませんでした。
私は元々フランスにおける東洋趣味に興味があったため、バレエ・リュスといえば、レオン・バクストらによるオリエンタルでエキゾチックなイメージしか持っていなかったこともあり、今回の展示で最も驚かされたのは「パラード」です。それまでのロシア色を脱し、前衛芸術家たちとのコラボレーションへと大きく変化する転換点ともなった《パラード》は、コクトーの台本、サティの音楽、そしてピカソによる舞台装置と衣裳ですが、絢爛豪華な《シェエラザード》の衣裳を見た後に、《パラード》の箱ロボットとも言えるような奇天烈な衣裳を見ると、バレエ・リュスの持つ幅の広さとわずか数年での大きな変化に驚かざるを得ません。

カタログは、かなり展示内容とはかけ離れていて、別物と考えた方がよいほどです。両者があまりに異なり、少し気にかかることなどもあったため、再度見学に行っていたりして、ここに投稿するのも遅くなってしまいました。15本にも及ぶテキストが中心で、その中に図版が212点織り込まれるという構成ですが、展示にはなくカタログのみ掲載の図版はもちろんのこと、展示されていたものでもカタログには掲載されていないものもかなりあるようです。展示リストなどもありません。これは展覧会自体、フランス国立図書館のコレクション紹介の意味合いが強いことや、図版を国立図書館所蔵品のみに限っていることに大きな理由があると思います。それにしても、ニジンスキーのデッサンは国立図書館所蔵なのですが、なぜかカタログには掲載されておらず、残念です。またカタログ付録として「バレエリュスに関するダンサー及び写真家」事典、「バレエ・リュス公演」一覧のとても詳細なものが付されていて、バレエ・リュス研究には有用なのではないかと思います。


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