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[寸評]「日本のオペラ物語 三浦環と田谷力三」展/「浅草オペラと昭和の芸能 田谷力三と俳優たちの物語」展

・会期:2009年11月1日〜2009年11月29日(「日本のオペラ」展)/2009年9月19日〜2009年11月29日(「昭和の芸能」展)
・会場:旧東京音楽学校奏楽堂第1展示室(「日本のオペラ」展)/台東区立下町風俗資料館(「昭和の芸能」展)
・評者:伊藤 由紀

会期終了後の報告となってしまいましたが、今秋、上野公園の内外で連動して開催されていた2つの展覧会のことを書いておきます。1つ目は旧東京音楽学校奏楽堂の企画展「日本のオペラ物語 三浦環と田谷力三」、もう1つは下町風俗資料館の特別展「浅草オペラと昭和の芸能 田谷力三と俳優たちの物語」。会期末に近い日曜日に、2館まとめて見てきました。

まずは公開の曜日が限られている奏楽堂の展示から。入ってすぐに、三浦環が百合姫(エウリディーチェ)を歌った《オルフォイス》(明治36年)の写真パネルが展示されています。この作品が日本人による初のオペラ上演の試みとして、東京音楽学校と東京帝国大学の学生有志の手で舞台に乗せられたのは、106年前のまさにこの建物での出来事だったはずですが、展示ではその点があまり強調されていないように思いました。

もちろん、決して広いとは言えない展示室で、1つのトピックばかりにスペースを割くわけにいかないという事情も理解はできます。今回の展示は戦後の放送オペラの台本や二期会公演のポスターまでをカバーしたものでしたから。私は普段、大正期の外国オペラの日本語台本を専門に扱っているので、昭和期の上演については知らないことも多く、新鮮な驚きとともに展示を見ました。

きれいに紅葉した上野公園を抜けて、今度は下町風俗資料館へ。奏楽堂の展示が日本におけるオペラ上演を通史的に振り返るものだったのに対し、こちらは大正期の浅草オペラと、そこを経由した歌手・ダンサーたちの昭和期のさまざまな活動を個別に取り上げていました。正直なところ、この切り分け方にはやや疑問を感じます。浅草オペラ関連の資料が2館に分散して置かれることとなり、印象が散漫になってしまったように思うのです。

台本研究者としては、オペラ台本の多くが閉じた状態で展示されており、表紙以外の中身を見られなかったことに不満が残りました。楽譜は開かれていたのに(これは奏楽堂の展示についても言えることです)。また、二村定一らのSPレコードも展示してありましたが、これも欲を言えば音声が聞きたいところです。下町風俗資料館は、常設展では大正期の家屋に実際に上がってみられる体験型展示を特徴としているだけに、なおさら残念に思います。

どちらの会場の展示にも、特にカタログは用意されていなかったのですが、「昭和の芸能」展についてはA3両面のパンフレットが無料で配布されており、これが非常に良くできていました。特に、片面すべてを使って掲載されている《オルフォイス》から大正末年までのオペラ上演史年表は、離合集散を繰り返した浅草の歌劇団の人材の流れがコンパクトにまとめられており、何かと重宝しそうです。両館とも、せっかくなので出品目録の配布があると良かったのですが。


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