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[寸評]地球(ほし)の旅人―新たなネイチャーフォトの挑戦

・会期:2007年1月2日~2月18日
・会場:東京都写真美術館
・評者:信岡 朝子

 「日本の新進作家」シリーズ第5弾でもある本展は、写真表現に関して将来性のある作家を発掘するという狙いで、東京都写真美術館が継続的に企画しているものです。

 今回は、ネイチャーフォトグラファーとして近年活躍が目覚しい三人の作家、菊池哲男(1961-)、前川貴行(1969-)林明輝(りん・めいき、1969-)の作品が一堂に集められ、展示されています。一口にネイチャーフォトといっても、その内容はさらに細かなジャンルに細分化され、本展に関して言えば、菊池氏は山岳写真、前川氏は動物写真、林氏は風景写真というように、各作家が大まかな専門分野を持っています。そうした質の異なる作品を同一会場で見比べられるという点では、小規模ながら興味深い展示内容になっていたと思います。

 三者の中で個人的に印象が強かったのは、やはり菊池氏の雄大な山々の写真でしょうか。実のところ山岳写真(もしくはネイチャーフォト全般)というものは、ある程度似たり寄ったりで見分けがつかないという先入観を常々持っていたのですが、菊池氏の写真は、山の形状や影と光線の具合、雲の配分など、その光景のどの要素に注目するかという「選択」に、独特の美意識と気迫のようなものが感じられ、自然写真にも作家の個性が出るのだなという実感を改めて得ました。特に太陽のように光り輝く月と白馬岳の映像は鮮烈です。

 その他の前川氏、林氏の写真にも、それぞれ特徴があり、それらを見比べるのも面白いのですが、こうした写真展で思うのは、現像方法(それも印画紙焼付けかインクジェットかという違いだけでなく)のほかに、カメラの機種や、どのようなレンズ、フィルムを使って、どのようなシャッタースピードで撮影したかといった詳細が、ある程度解説された展示であって欲しいということです。特にその画像に出ている「効果」が、作家の選択によるものなのか、あるいはテクニカルな特色(あるいは限界)なのかを見分ける意味で、意外と重要だという気がします。

 また、特に現代作家による写真展では、インクジェット・プリントによる作品展示が近年増えてきているのですが(本展では前川氏)、印画紙焼付けの繊細なクリアーさが、美的観点からもっと大事にされるべきだと感じました。図録ではその違いが消えてしまうので、実物を是非見比べていただきたいのですが、肉眼では見分けがつかないと言われても、残る印象はやはり違うという気がします。


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