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[寸評]ポーランド国立ウッチ美術館所蔵「ポーランド写真の100年」展

会期:2006年7月25日-8月27日
会場:松涛美術館
評者:佐々木悠介

ポーランド写真の100年を観てきました。
土曜日なのに他にほとんど客はいなくて、閑古鳥が鳴いていました。

展覧会の方向性は明らかで、とにかく今まで知られてこなかったポーランド写真
をガッと集めてバッと見せる、ということです。

1930年代あたりから80年代くらいまでのものを中心に、時代順、作家ごとに簡単な作家紹介を付けて展示していましたが、やはり時代に応じて、たとえ ばピクトリアリスムの作家がいたり、シュルレアリスムの影響を受けた作家がいたり、ドキュメンタリーフォトの作家がいたり、というように、ポーランドに も20世紀の写真史をリアルタイムで辿ってきた歴史があることがわかります。さらにナチス時代、その後の共産主義の時代、民主化、という政治的なバック グラウンドの中で、ポーランドの写真家達が、体制とは常に一歩距離を置いて(なかにはかなり批判的な態度を取って)活動してきた、ということもわかりま す(もっとも、かつて体勢に迎合していたような写真家がいたのに、現在のポーランドの写真史の中からはほぼ抹消されているという可能性もありますが、そ の辺の事情はわかりません)。

しかしいくら約200点持ってきた、といっても、それで20世紀のポーランドの写真史の多用な側面を、イストワールとして把握することはとても無理であ り、ある程度(欧米の)写真史のバックグラウンドを知っている人でも、おそらくそれぞれの時代のそれぞれのジャンルの写真の中に、展示されている写真を 位置づける(ああ、こういうのはポーランド「にも」あったのか)という感じです。もしポーランド独自の写真史というものがあるとしても、今回の展示は、 それを説得力を持って示すところには至っていないように感じます。

カタログですが、まだちらっとしか見ていないものの、これまでなかった、ポーランド写真史のガイドブック・資料という意味では有効なものになりうると思 います。買いです。ただし上にも書きましたけど、今回はポーランド国立ウッチ美術館の所蔵品を持ってきた展覧会であり、現在のポーランド国立美術館の所 蔵品には含まれていないような、あるいは含まれていても公開されていないような、体制に協力的な写真家の存在が、本当はあるのではないか、という気がど うしてもします。
もちろんフランスなんかでも、写真家は亡命者であることも多く、体制とは距離を取って活動した人が多いわけですし、ポーランドでもそうなのかも知れませ んが、それにしてもあまりにもきれいなところだけ見せてはいないか、というわけです。
もっともこれはただの憶測に過ぎず、何の根拠もないのですが。

以上、簡単な感想です。


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