韓國の詩人・随筆家にして、特に韓國近・現代詩、民謡、童謡の秀麗な日本語譯を以て名高い金素雲氏は一九八一年十一月二日肝臓癌のため逝去された。氏はその晩年東大比較文學會の學風と事業に殊の外關心と親愛の情とを寄せられ、下記の規約本文に記した如き経緯により、本學會の事業に對する財政的援助の意向を表明された。本學會はこのお申し出を有難くお受けすることとし、金氏の遺志を出來る限り有効に生かすべき方途として、「金素雲賞」なる學藝研究奨勵賞を設立することとした。以下にその暫定的規約を御披露し、大方の御理解と御賛同を仰ぐ次第である。
| 一、 |
本賞は日本と韓國との間の文化交流と相互理解に生涯を捧げてきた韓國詩人金素雲氏の厚意に應へて、同氏の志を繼承すべく設けられたものである。 |
| 一、 |
本賞は、金素雲氏から東大比較文學會に寄せられた金額と、同氏の日本における著作權を東大比較文學會に委譲されたことによる収益、および東大比較文學會から寄託された若干額との合計を基金とし、その年間利子によつて運營される。 |
| 一、 |
本賞の授賞對象は、東京大學大學院人文科學研究科比較文學比較文化課程に在籍中の、または在籍したことのある内外國人の學生(正規學生または研究生、國籍は問はない)のうち、日本と韓國、または東アジア一般にかかはる比較文學比較文化研究の上で顯著な業績をあげた者、毎學年度一名とする。 |
| 一、 |
本賞受賞者の銓衡は、東大比較文學會會長(研究室主任教授)を中心として、同會長委任による「金素雲記念基金運營委員會」の委員若干名(四、五名)を以てこれに當たる。その際、本學會員、またはこれに準ずる者から候補者の推擧を受けることができる。 |
| 一、 |
本賞受賞に値する者がないと判断された年度には、該當額を東京大學教養學部附囑圖書館における日韓比較文學比較文化關係の圖書・資料の購入、または本賞基金への繰入れに當てることができる。 |
| 一、 |
本賞受賞者は、この授與の名譽を心に刻み、日韓兩國間および東アジアにおける文化交流と相互理解の促進に努力を重ねてゆくべきものとする。 |
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各年度末に銓衡委員會を開き、決定の上、三月下旬、恒例の八王子セミナーハウス研究合宿の際に結果を發表、授賞式と披露會を催す。 |
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受賞論文は原則として本誌『比較文學研究』に印刷公表される。 |
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